仕事の変化【経営のヒント 195】
第4部『知識の時代』、第13章は「仕事の変化」です。
ドラッカー博士は、生前『仕事の歴史』という著書を著したいという希望をもたれていました。
おそらく今日の一章は、その未刊の書の重要な位置を占めたことでしょう。
まずは今日の一言からです。
<ドラッカーの一言>
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知識労働者の生計の資だけの仕事では満足できない。
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エターナル版『断絶の時代』1969年 ダイヤモンド社より
肉体労働者にとっての仕事の報酬は賃金であった。
良い仕事には、より多くの賃金が支払われました。
知識労働者にとっての仕事の報酬は他にあります。
もちろん金銭的報酬が不足すると不満を招くことになります。
しかし、それだけでは満足を得られないといいます。
それでは、知識労働者の報酬はなんでしょうか。
ドラッカー博士は知識労働者の動機づけに必要なものは成果であるといいます。
さらに「自らの貢献を知らなければならない」といいます。
この場合の成果は、組織の成果を示し、貢献は知識労働者一人ひとりの貢献を意味しています。
この点が、肉体労働者のマネジメントと大いに異なる点です。
この著書が書かれた1969年当時、知識労働者のマネジメントと誰も知りませんでした。あれから40年ほど経つ今も状況はそう大きく変わったとはいえないような氣がします。
とはいえ、わかった事を使うというのがドラッカー流です。
この著書から30年後に書かれた『明日を支配するもの』には、知識労働者の生産性について次のように述べられています。
【知識労働者の生産性をあげる6つの条件】
(1) | 仕事の目的を考える。 |
(2) | 働く者自身が生産性向上の責任を負う。自らをマネジメントする。自律性をもつ。 |
(3) | 継続してイノベーションを行う。 |
(4) | 自ら継続して学び、人に教える。 |
(5) | 知識労働者の生産性は、量よりも質の問題であることを理解する。 |
(6) | 知識労働者は、組織にとってのコストではなく、資本財であることを理解する。 知識労働者自身が組織のために働くことを欲する。 |
どれも知識労働者にとっては、重要なポイントです。
一つでも意識して取り組みたいものです。
佐藤 等