政府の病【経営のヒント 192】
『断絶の時代』第10章は、「政府の病」というテーマです。
今日の一言からです。
<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
政府への幻滅こそ今日の最も深刻な断絶である。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
エターナル版『断絶の時代』1969年 ダイヤモンド社より
ドラッカー博士は、断絶の実態をこう述べています。
「すでに若い人たちの間では政府に対する敬意は失われた。愛着などない。
納税者たる大人たちも幻滅を深めた。大人たちは今でもより多くのサービスを求める。
しかしその彼らが、政府の約束したものを求めはするものの、政府をより大きくするための費用の負担には尻ごみを始めている」。
どうでしょうか。1969年に書かれたものです。
日本の今朝の朝刊に掲載されても不思議ではないことが書かれています。
かつてドラッカー博士は、唯一政府に対する敬意が残っている国として日本を挙げていました。
しかし、社会保険の問題を引き合いに出すまでもなく昨今の大混乱では、その敬意も地に落ちたといえるのかもしれません。
とても残念なことです。
ドラッカー博士は、そもそも政府は高コストゆえ管理者としては不向きな存在であるとし、成果を基準としないゆえ実行者としても不向きであるといいます。
そして政府が負うべき重要な役割は、問題を浮かび上がらせ、選択肢を示し、意味ある正しい意思決定を行うことだといいます。
統治者たるべし。それがドラッカー博士の主張です。
そのための唯一の処方箋は、役割分担の再編成です。
具体的には、「手を広げすぎて疲れ果て、弛緩して不能となった政府という中年疲れに元気を取り戻させるために行うべきことは、社会のための仕事の実行部分を再民営化することである」といいます。
つまり、「政府は一つの楽器が得意とするものについて徹底的に考える指揮者となる」
ことだというのです。
もし日本の国民に少しなりとも政府に対する敬意が残っているとすれば、この処方箋を一日も早く導入すべきだと思います。
天下り先となっている政府外郭団体ではなく真の民間組織に任せるべきときは、今をおいて他にありません。
政府外郭団体の数合わせをしているような暇は、私たちにはあまり残されていないのです。
佐藤 等