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自らをマネジメントする【経営のヒント 173】

マネジメントの父と呼ばれるドラッカーですが、その対象分野は組織のマネジメントに留まらず、セルフマネジメントと呼ばれる分野をもカバーしています。
日本語では自己実現の方法とでも言った方がとおりがいいかもしれません。
もう5回目を迎える『明日を支配するもの』の第6章「自らをマネジメントする」は、そんなセルフマネジメント分野についての数少ない記述です。
それでは、今日の一言です。

<ドラッカーの一言>
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最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。
自らの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむ用意をした者
だけが手にできる。
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『明日を支配するもの』(ダイヤモンド社)より

キャリア開発という言葉があります。組織が個人の能力開発を支援するという意味で使われています。組織が個人の能力を開発するのではなく、支援するに過ぎません。あくまでもキャリアを開発するのは自分自身です。
そんな意味をこめてドラッカー博士は、自分のスキルを高め、かつ人間的にも成長することを自己開発と呼んでいます。

自己開発を行うに当たって大切な点が今日の言葉に表れています。
第一に前回までの繰り返しになりますが強み、仕事の仕方、価値観の三つを知る、つまり己を知ることです。これらについては前3回をお読み下さい。

第二に、今日の言葉の「機会を用意する」の一つ目の意味です。
それは、自らをさらに高めること、つまり強みを伸ばし、仕事の仕方を徹底させることです。さらに価値観を鮮明化させていくことです。つまり「自分の準備」を常に怠らないということです。
そして「自分の準備」には、ゴールはなく、一生追い続けなければなりません。

第三に、今日の言葉の「機会を用意する」のもう一つの意味です。
それは、「環境の準備」です。つまり、「準備している自分」を最もふさわしい環境におくことです。具体的には、強みを最高に発揮できる場、自分のワークスタイルにフィットした場、自分の価値観が共有できる場に身をおくことです。
そんな都合のいいことができるのかという声が聞こえてきそうですが、選択できるのは自分以外にはいないという事実を受け入れなければなりません。
心を楽します、能力を発揮せず腐っていくよりも自ら選択するという勇気を持たなければなりません。

これらのことを通してのみ、最高のキャリア(ただしゴールのないキャリア)を手にできるのです。これが普通の人が卓越した仕事をこなせるようになる唯一の道です。
道は、明快ですが、歩き続けられる人が極めて少ないのも事実です。
特殊な能力は要りません。
この道でと決める勇気と毎日の姿勢と行動をもち続ける、それだけです。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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