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明日を支配するもの【経営のヒント 162】

今回も『明日を支配するもの』第3章からお伝えします。
前回は、変革の担い手たるチェンジ・リーダーの<変化のための仕組み>の一つ「体系的廃棄」のお話をしました。
このほかの手法は、「継続的改善」と「成功の追求」です。
今日の一言は、そのうちの一つからです。

<ドラッカーの一言>
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継続的改善は、積み重ねによって、活動のすべてを根本的に変える。
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『明日を支配するもの』1999年

「継続的改善」の世界的なチャンピオンは、紛れもなくトヨタです。
問題を探し、課題化して解決する。また問題を探し、課題化して解決する。
その繰り返し。その姿勢は、組織の文化にまでなっています。
こうした行動が、いつか誰も追いつけない高みに導きます。改善を行う際のポイントを3つ。
第一に組織的であること。
第二に継続的であること。
第三に体系的であることです。
私たち日本人にとっては、良いお手本が身近にありとてもラッキーです。
製造業以外でも大変参考になります。是非研究されてはいかがでしょうか。

さて二つの目の「成功の追求」という言葉ですが、平凡な言葉に聞こえませんか。
これがチェンジ・リーダーの仕組みだとは誰も氣づきません。月次報告をする場合のことを思い浮かべてください。目標未達の言い訳、問題点、課題らしきものを次々と報告する。このように私たちの報告のための会議は、基本的に問題に焦点を当てているといえます。現場を中心に問題を徹底的に解消していく方法を「継続的改善」といいましたが、この報告のための会議とは、似ても似つかないものです。多くの場合、報告のあと、原因も追究せず、したがって徹底した改善行動もなくむなしく時が過ぎ去ります。「成功の追求」とは、いわば「継続的改善」の真逆の手法です。この方法は、当初の期待以上に成果があがったケースを探し、次々に列挙していく方法です。そしてなぜ上手くいったのかを徹底的に追求し、組織的に仮説行動を行う。それで上手くいけば、さらに上手くできる方法を追求する。

こうして試行錯誤的に小さな成功を積み重ねていくことで、根本的な変化を起こし、まったく新しいものを生み出すことになります。意外にも氣がつかない妙手です。
成功だけを追及する成功会議を是非試してみてください。
ポイントは、問題のための会議とは、別の日時で行うことです。
きっと成果が現れます。

今日ご紹介した方法は、いづれも活動のすべてを根本から変えるという威力のある手法です。繰り返しになりますが、ポイントは組織的、継続的、体系的にです。簡単な方法ほど習慣化が難しいものですが、組織の習慣になり、やがて組織の文化になるとき企業は、生まれ変わります。まずは一歩を踏み出しましょう。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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