明日を変えるのは誰か【経営のヒント 161】
1、2章とお伝えしてきた『明日を支配するもの』もいよいよ佳境に入ってきました。
第3章「明日を変えるのは誰か」では、今起こっている変化にどんな人がどうやって対処すべきかが示されています。
ドラッカー博士は、「変化はコントロールできない」と言います。そして変化の先頭に立つ者だけが生き残ると。今日の一言は、これらの言葉に続くものです。
<ドラッカーの一言>
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急激な構造変化の時代にあっては、生き残れるのは、
自ら変革の担い手、チェンジ・リーダーとなる者だけである。
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『明日を支配するもの』1999年
チェンジ・リーダーとは、変化を機会としてとらえる人のことです。変化の先頭に立つには、変化を探し求めます。そしてそれらの変化の中で自らの事業の機会となる変化を見極め、これを生かします。チェンジ・リーダーとなるには、意志の力だけでは無理です。チェンジ・リーダーとなるためには、仕組みや手法があります。今日は、チェンジ・リーダーたるものが持つべき3つの仕組み(1)体系的廃棄、(2)継続的改善、(3)成功の追求についてから体系的廃棄をお伝えします。
私たちが体系的廃棄から得られるものは、経営資源です。生産的でなくなったものに投下されている経営資源、とくに優秀な人材を解放することがポイントです。
昨日を棄て、明日を創るための準備をするのです。
廃棄は、あらゆる製品、サービス、プロセス、市場、流通チャネル、顧客、最終用途について、常時、体系的に点検することで可能になります。その際「すでに行っていなかったとして、今これを始めるか」と問うことです。問いかけは簡単です。答えがノーであれば実際に直ちに廃棄をしなければなりません。
廃棄には、勇気が必要です。特に過去の成功ほど廃棄にとって厄介なものはありません。勇気を持って行動することが大切です。
廃棄のときを迎えるタイミングを逃さないことです。例えば、製品やサービスの寿命があと数年といわれるようになってきたときや新しい製品やサービスに取り組もうとしているときには、廃棄を行う絶好の機会です。これら製品やサービスの廃棄は、<行っていること自体の廃棄>をすることですが、やり方を変えるために行う<方法の廃棄>もあります。変化のはやい時代には、<方法の廃棄>はより頻繁に行われます。方法の廃棄は、別の方法を要求します。
小さなパイロットテストが重要です。さもないと現場は、大混乱です。パイロットテストを繰り返して正解を探り出す必要があります。
さて、廃棄についてお伝えしてきましたが、21世紀に生きる私たちは、廃棄こそが、事業存続の第一の条件と心得、変革の担い手となる覚悟で望みたいものです。
佐藤 等