成果をあげる意思決定とは【経営のヒント 153】
第6章の「意思決定とは」に続き、第7章は、「成果をあげる意思決定とは」という意思決定がテーマの章です。この章は、私たちに意思決定に関する意識改革を促してくれます。第一に、「意見は未検証の仮説にすぎない」ということ。したがってすべての意見は検証される必要があります。
大きく分けてまず意思決定の段階で仮説の有効性を検討します。
さらに意思決定された意見、つまり選ばれた仮説は、それを実行することで検証されます。その結果、成果があがらなければ、代替案を実行することになるかもしれません。このような前提に立てば、複数の意見が必要であることは明白です。そこで今日の一言です。これが第二の意識改革です。
<ドラッカーの一言>
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決定において最も重要なことは、意見の不一致が存在
しないときは決定を行うべきではないということである。
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エターナル版『経営者の条件』1966年 ダイヤモンド社
この言葉、「社内営業」という言葉があるくらい根回し大好きの日本にとっては恐ろしいものに写るのではないかと思います。そもそもエグゼクティブが直面する問題は、満場一致で決められるようなものではなく、相反する意見の衝突、異なる視点との対話、異なる判断の間の選択があって初めて、よく行いうるものだとドラッカー博士は述べています。
さらに博士は、意見の不一致の効果として次の3つを挙げています。
(1)特定の者の特別の要請や意図から逃れることができる。
(2)選択肢を得ることができる。
(3)想像力を刺激する。
複数の意見から導き出された意思決定こそが成果をあげるというわけです。
ともすれば、自らの見方が唯一の見方であるとの確信からスタートしていることが多いのではないでしょうか。もしそうであるならば私たちは、反対意見を引き出すために相当の努力をしなければならないことになります。
新年度も始まり、何かと会議も多くなる時期です。
異なった意見が活発に議論される、そんな状態を一度試してみませんか。
佐藤 等