人事と人間関係まとめ【経営のヒント 139】
今日は、第4部「人事と人間関係」の第5章「まとめ」の章です。
人のマネジメント、人間関係のマネジメントを「どう実行に移すか」という観点で書かれています。まずは、今日の一言からです。
<ドラッカーの一言>
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失敗しても今一度のチャンスを与えられた人間は、
たいてい期待に応えるものである。
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『非営利組織の経営』 1990年 ダイヤモンド社
この言葉には、ドラッカー博士の組織における人に係わる原理が色濃く出ています。まず「失敗」という言葉ですが、組織における「失敗」は「成果」を定義してはじめて判断が可能だということ。目指すべき「成果」の形を共有してはじめて「成功」と「失敗」があること。往々にして私たちは、「成果」の形を明示しないで組織運営を行うことがあります。つまり成否を問う前に、経営者が「成果」を明示する責任を果たすことが大切です。
もう一つは「期待に応える」ということ。ドラッカー博士は、「人は皆、人としての欲求と動機をもつ存在である」ということを基本思想にすえています。組織において自己実現を図るため貢献意欲をもち、そこから力を引き出されるのを待つ存在であるといえます。人が持つ知恵や力を引き出すことを動機づけといいます。あえて「待つ存在」としたのは、引き出すのは経営者だからです。
人が持つ知恵や力を高めることは、個人の責任で行われなければなりません。
これをドラッカー博士は、「自己開発」という言葉で呼びます。
開発されたものを引き出すことこそが、経営者の役割です。
今日の言葉に続けてこう言います。「もう一度うまくやって、それでもうまくいかなければ、任された仕事が間違っている可能性がある」。
あくまでも第一次的には経営者の責任だということです。その場合まず「どういう仕事が向いているか」を考えよと。それは、組織内にあるかもしれないし、ないかもしれない。人のマネジメントにおいて「適所」に「適材」を当てるということは、常に経営者が意識していなければならない重要なことの一つなのです。
佐藤 等