なすべきでないこと、なすべきこと【経営のヒント 131】
今日は、第3部「成果をあげるためのマネジメント」の第2章「なすべきでないこと、なすべきこと」からです。
今日の一言は、その中から「なすべきこと」の一つを言い表したものです。
<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
基準は高く設定すべきである。
しだいに基準を上げていくことはできない。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『非営利組織の経営』 1990年 ダイヤモンド社
「基準」という言葉は、色々な局面で使われると思いますが、ここでは「行動のあるべき到達点」とでも表現しておきます。ドラッカー博士が例に挙げているのは、「緊急治療室の基準:運び込まれた人は1分以内にしかるべき医師の診断が受けられるようにする」というものです。行動形式で表現され、具体的に到達できたかどうかがわかります。
私たちは、実際には少しずつレベルアップします。これは事実です。
その際に目標を少しずつ上げていこうとします。この行動自体には、問題はありません。しかし、考えてみれば「到達すべき基準」を設けていないことが多いのではないでしょうか。
今週、駒大苫小牧が惜しくも3連覇を逃しましたが、彼らは間違いなく「優勝する基準」を知っています。たとえば外野フライを捕るとき、周囲の選手との衝突を避け声を掛け合いますが、甲子園の大声援の中ではその声の大きさではダメだ、ということを静寂の中の練習で実践しています。また甲子園では、ヒットがそう多く続くものではありません。彼らは、2塁からワン・ヒットでホームに帰ってくる率が群を抜いています。その練習も時にはボールを使わないで延々数時間続けます。選手各自は、ホームへの到達タイムを測定し、到達基準を狙います。
これらは、「高い基準」の一つです。
毎年10%生産性をあげるには・・・と考えるのではなく、まず2倍の生産性をあげるにはどうすればいいのかと考える思考習慣が大切です。はじめに基準ありきの思考法によると発想・工夫の幅がまったく異なってきます。
「成果をあげるマネジメント」の一つとして「基準を高く設定する」ことを是非実践していただきたいと思います。
佐藤 等