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なすべきでないこと、なすべきこと【経営のヒント 131】

今日は、第3部「成果をあげるためのマネジメント」の第2章「なすべきでないこと、なすべきこと」からです。
今日の一言は、その中から「なすべきこと」の一つを言い表したものです。

<ドラッカーの一言>
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基準は高く設定すべきである。
しだいに基準を上げていくことはできない。
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『非営利組織の経営』 1990年 ダイヤモンド社

「基準」という言葉は、色々な局面で使われると思いますが、ここでは「行動のあるべき到達点」とでも表現しておきます。ドラッカー博士が例に挙げているのは、「緊急治療室の基準:運び込まれた人は1分以内にしかるべき医師の診断が受けられるようにする」というものです。行動形式で表現され、具体的に到達できたかどうかがわかります。
私たちは、実際には少しずつレベルアップします。これは事実です。
その際に目標を少しずつ上げていこうとします。この行動自体には、問題はありません。しかし、考えてみれば「到達すべき基準」を設けていないことが多いのではないでしょうか。

今週、駒大苫小牧が惜しくも3連覇を逃しましたが、彼らは間違いなく「優勝する基準」を知っています。たとえば外野フライを捕るとき、周囲の選手との衝突を避け声を掛け合いますが、甲子園の大声援の中ではその声の大きさではダメだ、ということを静寂の中の練習で実践しています。また甲子園では、ヒットがそう多く続くものではありません。彼らは、2塁からワン・ヒットでホームに帰ってくる率が群を抜いています。その練習も時にはボールを使わないで延々数時間続けます。選手各自は、ホームへの到達タイムを測定し、到達基準を狙います。
これらは、「高い基準」の一つです。

毎年10%生産性をあげるには・・・と考えるのではなく、まず2倍の生産性をあげるにはどうすればいいのかと考える思考習慣が大切です。はじめに基準ありきの思考法によると発想・工夫の幅がまったく異なってきます。
「成果をあげるマネジメント」の一つとして「基準を高く設定する」ことを是非実践していただきたいと思います。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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