寄付者という支持層を構築する【経営のヒント 128】
第2部「使命から成果へ」の第4章は「寄付者という支持層を構築する」です。
この章もダドレイ・ハフナー氏(米国心臓協会CEO当時)との対話形式になっています。それでは今日の一言からです。
<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
寄付をしてくれる人についても、ボランティアについても同じで、
非営利組織は、関係者による支持層を築いているわけです。
理解を築き、支持を築いているのです。そして、その過程で、
満足感、人間としての満足感を築いているのです。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『非営利組織の経営』1990年 ダイヤモンド社
営利組織には、顧客がいて、労働を提供する従業員がいて、資金を提供する株主や金融機関がいます。これに対して非営利組織には、サービスを受ける対象者がいて、労働力を提供するボランティアがいて、資金を提供する寄付者がいます。構造は基本的に同じですが、サービスに対する対価が原則無償、労働力と資金の提供に対しての見返りも原則ありません。いやあります。
労働と資金に対する見返りは、満足感です。このことは、本来「働く」という行為には、満足感を伴っていることを示しています。特に日本には、「傍を楽にする」という思想が根本にあり、このことは理解しやすいものです。また寄付も基本的には、労働か金銭かの違いがあるだけで、自分のできることを行うという意味ではボランティアと同じ土俵にあるといえます。
アメリカでは、満足感を得る場として非営利組織でボランティアを行い、一種の自己実現を達成するという文化があります。これに対して、日本では最近薄れてきたとはいえ「会社」への帰属意識がとても強いといわれています。これは、企業という営利組織が満足感を得る場として定着していることの証でもあります。
ということは、日本においては、営利、非営利の区別なく今日の<ドラッカーの一言>が当てはまる土壌があることを意味します。
組織というチームを構成する個々人の「理解」と「支持」を築くことが、働くスタッフの満足感の源泉になります。
その具体的取り組みが経営者の大切な仕事です。
佐藤 等