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荒天を乗り切ること【経営のヒント 121】

前回に引き続き『非営利組織の経営』1部 第2章は「荒天を乗り切ること」です。
この章では、「荒天」についてと「乗り切る」方策としてのリーダーのあり方について述べられています。今日は、後者の「乗り切る」についての一言です。

<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
有能なリーダーは、決して「私」とはいわない。(中略)
そもそも彼らは、「私」のことなど考えていない。
「われわれ」のこと、「チーム」のことを考えている。
チームを有効に機能させることが自分の仕事だと心得ている。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『非営利組織の経営』 1990年 ダイヤモンド社より

例によって非営利組織に向けられた言葉ですが、もちろん営利企業にバッチリ当てはまります。荒天を乗り切るには「チームを有効に機能させること」、簡潔明瞭です。そのためのリーダーであり、リーダーシップです。
リーダーは、個人の能力開発のほかに、チームの能力を引き出すためのチーム力の開発にも努めなければなりません。
簡単に書いてしまいましたがチームの管理ではなく、チームの能力開発です。
経営者ばかりが勉強熱心で、チームがついてこない・・なんてこと、よく見受けられます。このことは、チームメンバー個々人の能力開発とも違います。個々人の能力を集めて足し算ではなく掛け算にすることです。
「掛け算」化するために必要な基本能力としてドラッカー博士が4つのポイントを示しています。

■リーダーとしての仕事に必要な基本能力
(1)人のいうことをよく聴く意欲、能力、自己規律
(2)他者とのコミュニケーションに努め、自分の考えを理解してもらおうとする意欲
(3)完全にやり遂げるまで、言い訳しない姿勢
(4)職務と自らを分離する、職務が一身より重要であることを知っている

(1)や(2)がスタートです。
最後に一言。
「リーダーは生まれついてのものではない。(中略)つくられたものでもない。
(中略)自らをリーダーとしてつくり上げた人たちなのである」。
覚悟を決めて取り組むしか王道はないようです。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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