ドラッカーの遺言【経営のヒント 112】
今日から『ドラッカーの遺言』を取り上げます。他の本の予定でしたが、あまりにメッセージ力が強いので“熱い”うちに取り上げさせていただきました。
ドラッカー教授が昨年11月11日に逝去されたことは、皆さんご存知のとおりですが、この著書は昨年7月のインタビューを元に出版されました。
しかも「日本」及び「日本人」に向けられたメッセージともなれば読まないわけにはいきません。正直、昨年訃報に触れたときよりもこのメッセージは胸に迫るものがあります。正に「遺言」に相応しい1冊です。
それでは第1章「世界はどこに向かっているのか」からです。
今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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新しい秩序へと向かう、混迷した世界の中で、重要な役割を
担う二つの国があります。一つはイギリス、そしてもう一つは―、
他でもない、あなたたちの国・日本です。
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『ドラッカーの遺言』(講談社)より
ドラッカー教授の見方は、いつもこうです。
<現状認識→変化を読み取る→機会を捉える→イノベーションを起す>。
そして最後のドラッカー教授の“今”の認識、「経済においては、三つの異なる顔を持つ側面が、互いに並行し、時に重なり合いながら、明確な世界経済としての姿を現しつつあります。『グローバル経済』、『トランスナショナル経済』、そして、かつて経済学者が”実体経済”と呼び習わした『財・サービス・人から成る経済』です」。
ところが現状認識の次の“変化”は、兆しがあるだけで、読みきることはできないといいます。その兆しとは?
現在G8と呼ばれる国々が世界経済の中心にありますが、「情報技術に裏打ちされた非常に大きな力によって世界経済が補完されていく」と新しい秩序を伝えています。その姿が明らかになるにはあと10年は必要とのこと。
そんな中で日本に注目したメッセージが<今日の一言>です。
大変ありがたい、しかし重々しい一言です。
変化はすでに生じているが、まだ方向が定まらない。その輪郭がハッキリしてくるのをじっくり待つ。しかし重要なのは、そうした「時代の変わり目」に今自分がいるということを強く意識しながら過ごすことです。
変化の方向が定まり、輪郭が見えたときに慌てないように、今なすべきこと、それを第2章以降「遺言」として語りかけてくれます。
ご期待下さい。
佐藤 等