明日のための戦略【経営のヒント 105】
第2部、第4章は、「明日のための戦略」です。
1980年に著された「明日」はすでに「昨日」になっています。しかし乱気流は、今もうねりとなって吹き荒れ、基本的な構造を根本から覆すようなまったく新しい出来事が起こっています。日本の財政構造改革の動き、世界経済における中国の問題、絶え間ないテロの出現など地殻変動クラスの変化が内外で起こっています。新しい出来事には、プランニングは無力。そんな時代に生きる企業は、どこを原点にすえればいいのか。
ドラッカー教授の答えは、いたってシンプルです。
「顧客にとっては、何が価値なのか」、「自らの強みは何であるのか」の2つです。
今日の一言は、強みに関わるものです。
<ドラッカーの一言>
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あらゆる者が、強みによって報酬を手にする。
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新訳『乱気流時代の経営』(ダイヤモンド社) より
「あらゆる者」は、ここでは主として企業を指していると思いますが、読者の皆さんはお気づきのように「エグゼクティブ」と呼ばれる経営幹部個人も当然含まれています。101号にも「強み」のことに触れていますが、「個人の強み」と「組織の強み」は、当然違いますよね。源泉は、「個人の強み」であることは理解できるのですが、「個人の強み」を組織に放り込めばそれが組織の強みになるとは考え難い・・・。
答えを探して彷徨っていたら『明日を支配するもの』にそのヒントらしきものがありました。「自らが成果を上げるためには、働く人の強み、仕事の仕方、価値観を知らなければならない。」組織で成果をあげるには、強みだけではなく、強みの発揮の仕方である「仕事の仕方」、さらには個人の「価値観」を上司、部下、同僚に知らせることが重要とのこと。もちろんお互いに。
コミュニケーションをとりながら「個人の強み」を引出しつつ仕事を続けていくと、組織に強みが少しずつ蓄積していく。その強みがいわゆる顧客価値と一致するとき卓越した中核的能力が生まれる。顧客価値と一致した強みは、もちろんちゃんと報酬を生みます。そして強みは、明日の機会にこそ向けられなければならない。
昨日の機会に投入している場合には、「勇気」をもって廃棄が必要です。
佐藤 等