マネジメント【経営のヒント 344】
今日から、『マネジメント』<下巻>です。
第49章「ドイツ銀行物語」は、6ページと最少です。
では今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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トップマネジメントとは、方向づけを行ない、ビジョン
を明らかにし、基準を設定する機関である。
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『マネジメント<下>』p.1 1973年 ダイヤモンド社
1000ページを超える『マネジメント』も全体の2/3が過ぎました。
下巻のテーマは「マネジメントの戦略」です。
ここでマネジメントとは、トップマネジメントのことです。
まずトップマネジメントとは、ボスの別名ではなく機関であることを
知らなければなりません。
相応の規模の組織ともなれば(規模の問題は53~55章で取り上げます)、
トップマネジメントは、チームで行うことになります。
この点を先ず確認いただきたいと思います。
「ドイツ銀行」は、1880年代にヨーロッパ大陸有数の金融機関となりました。
弱小銀行を有力銀行に育てたのは、官僚のゲオルク・ジーメンスでした。
ヨーロッパ大陸中に支店網を形成したため、
日常の現場のオペレーションを現場の長に任せ、
自らはトップマネジメントチームを作り、
全体の経営に当たるなど事実上トップマネジメントの役割を史上初めて明示した
事例の一つと言えるでしょう。
ドラッカー教授は、ジーメンスの教訓として次の3つを挙げました。
①トップマネジメントには特有の仕事があること
②トップマネジメントには独自の組織構造が必要であること
③トップマネジメントには独自の補佐機関が必要であること
今日の一言は、①の特有の仕事を表しています。
主な仕事は、ビジョンなど長期、全社にわたる意思決定を行うことです。
②独自の組織構造とはチーム型組織を指しています。
トップマネジメントの仕事の仕方の大半は、会議による意思決定です。
会議は常設ではありませんので必要な時に集合するチーム型組織がベストです。
③の補佐機関とは、セクレタリアート、つまり秘書機能です。
会議で決定したことの通知、フォローなど会議体という非継続組織形態には、
不可欠の存在です。
次回以降、下巻のテーマがトップマネジメントに関わるものが続きます。
これまでと少し意識を切り替えてお読みいただきたいと思います。
佐藤 等