どのように人間学を学ぶのか【経営のヒント 648】
感染症にともなう緊急事態宣言地域が拡大しています。日本にとっても人類にとっても逆境の時が続きます。前回、「何のために学ぶのか」と問い。その理由の一つに「順逆を超えるために学ぶ」を挙げました。今このようなときのために人間学を学ぶ必要があります。
さて前回年末年始から取り組んでいる<人間学マップ>について触れまた。大改造後の枠組みがおおよそ明確になりつつあります。
<人間学マップ>制作の目的は、人間学という大海原を泳ぐためです。
3つの観点からまとめてみました。
(1)なぜ人間学を学ぶのか
(2)どのように人間学を学ぶのか
(3)人間とは何を学ぶのか
今日は、(2)「どのように人間学を学ぶのか」という観点からお伝えしたいと思います。
誰でもすぐに取り組める方法として読書があります。「読書尚友」―書を友とし、己と向き合い、己を高める。古今の事をなした多くの者がとった方法でもあります。
何を読むのか。「経、史、集」、言葉を換えると古典と歴史と人物に学ぶということになります。どんな言葉に出合うのかによって人生が変わります。
逆境にあるとき、また何のために生きているのか」など人生の一大テーマに誰しもが向き合わなければならないとき、言葉は一つの灯明となります。
しかし、その時、気をつけなければならない点が一つあります。ドラッカー教授も次の言葉が示しています。知識とは何かを生み出す能力であるということです。
知識は、本の中にはない。本の中にあるのは情報である。知識はそれらの情報を仕事や成果に結びつける能力である。
『創造する経営者』p.144
安岡正篤先生の「活学」と通じた言葉です。つまり、学んだことをドラッカー教授のいう情報に留めず、知恵(真の知識)として発展させ、実践することです。
こんな言葉もあります。
経営管理者は、情報という特有の道具をもつ。経営管理者は人を操ろうとしてはならない。一人ひとりの仕事について、動機づけし、指導し、組織しなければならない。そのための唯一の道具が、話す言葉であり、各言葉であり、数字の言葉である。
『現代の経営』
どのような情報を用いて人を治めるか。操ろうとするのではなく模範となることによって人を導くには、どのような言葉を用いればいいのか。その言葉に出逢う最良の方法が読書なのです。
今年、一年、どんな本と向き合おうと思っていますか。新年にあたって目標を立ててみませんか。
佐藤 等(ドラッカー学会理事)