乱気流時代の経営【経営のヒント 97】
今日から「乱気流時代の経営」の本編に入ります。本編は、4部構成。
第1部:現在をマネジメントする
第2部:明日をマネジメントする
第3部:構造変化をマネジメントする
第4部:乱気流をマネジメントする
となっており、機会、戦略、行動に焦点を当てマネジメントの方法を私たちに教えてくれます。
今日は、第1部から第1章「インフレ修正と流動性」からです。
この本が書かれた1980年当時、世界の主要国はインフレの只中にあったことが、この章から伺えます。対する現在の日本は、資産デフレと価格デフレが久しく時代を覆っています。
この章のポイントは、「インフレ」にあるのではなく「流動性」にあります。
それでは今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆
乱気流の時代にあっては、損益計算書よりも
貸借対照表が重要な意味をもつ
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆
新訳『乱気流時代の経営』(ダイヤモンド社)より
乱気流の時代は、先の視界が突然変わる時代、「昨日の現実」と「今日の現実」が続いていない時代、「新しい現実」が突如として現れる時代です。そんな時代の「今日の現実」としてマネジメントしておかなければならないものの一つが「手元流動性」(現金・預金、一時的に保有する目的で持っている有価証券の合計額)です。デフレという乱気流の時代であってもやはり、貸借対照表の重要性は薄れるものではありません。むしろ益々重要性を増しているとさえいえます。
なぜか?
乱気流の時代の企業は、突然の打撃にも耐え、生き残っていかなければならないからです。そのためには、手元流動性とその源泉である自己資本の額が重要です。自己資金/手元流動性を見ることで、その企業の打撃に耐える力(存続可能性)や投資力もわかります。
乱気流の時代は、突如として直面している「現実」が変わります。しかし3月31日と4月1日で「現実」が変わることは稀です。それなのに損益計算書志向で経営していたとしたら、本当に現実が変化しているときには対応できません。連続志向の貸借対照表という軸をベースにしているからこそ、視界が突然変わる「乱気流の時代」には、その真価を発揮するのです。
経営者の皆さん、一日も早く貸借対照表志向に切り替えることをお勧めします。
佐藤 等