意思決定を行うこと【経営のヒント 93】
いよいよ大詰め第28章「意思決定を行うこと」です。
ドラッカーの言を借りると、この章で述べられている方法は、何千年も前から知られているものらしいのです。でもとても新鮮に聞こえるのは、いかに日頃いい加減に意思決定を行っているかの証みたいな気がしてなりません・・・反省。
耳の痛い、今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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戦略的な意思決定においては、重要かつ複雑な仕事は、正しい答えを
見つけることではない。それは、正しい問いを探すことである。
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新訳『現代の経営』(ダイヤモンド社)より
何か重要なことを決めるとき、すぐ問題解決、つまり答えを探していませんか?
「ハイ」思わず手があがってしまうのは私だけでしょうか?
どんなに時間をかけて検討しても、最初に間違いといわないまでも的外れな課題設定をしてしまうと、時間がもったいないばかりでなく、成果がまったく出ません。即行動したい衝動を押させて慎重に正しい問いを発するには、かなりの訓練だと思います。
とても大切なことですが、心して取り組まないとなかなか身につけることができません。
例によってドラッカーは50年前にちゃんとその手順を示してくれていました。
【ドラッカーの意思決定のプロセス】
(1)問題の定義、(2)問題の分析、(3)複数の解決案の作成、(4)解決策の選定、(5)効果的な実行
決定した行動に成果をあげさせることのほうが、さらに重要であり困難だと述べているだけあって意思決定のプロセスに「実行」を加えるあたりは、さすがです。
このプロセスの「(3)複数の解決案の作成」の説明にとても気になる記述があります。
ちょっと長いのですが引用させてください。(以下引用)
「白か黒か」という問題設定にはあらゆる色が含まれているものと想定してしまう。しかし、あらゆる色が白と黒であるわけではない。われわれは、「白か黒か」というとき、単に両極端についていっただけであるにもかかわらず、あらゆる色についていったつもりになる。(以上)
「二者択一の罠」と呼んでいるものです。実務の世界では、二つに一つは意外と少なく、灰色が多いと思います。でも灰色がまったく視野に入らない。
いかにも物事を見ているようで実はなにも見ていない。結構多いのです。
<みかた>も、見る、視る、診る、観るといろいろです。
実は、我々経営者が身につけるべき大切な力なのではないかと近頃思っています。
佐藤 等