IBM物語【経営のヒント 84】
第19章は、「IBM物語」です。50年前に本書に取り上げられた企業フォード、シアーズそしてIBM、どの3社も浮沈を繰り返しながらも成長を遂げています。これもドラッカーの見る目の確かさの一つですね。
さてこの章から第4部「人と仕事のマネジメント」に入ります。中小企業にもとても役立つパートです。
「人と仕事のマネジメント」は、第2章でマネジメントの第三の機能としてあげられたものです。
それでは、今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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彼らはみな、人としての欲求と動機をもつ存在である。
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新訳『現代の経営』(ダイヤモンド社)より
第2章で「人を、一つの資源と見ることが必要である」と表現しています。そしてその後には「他の資源とは異なり、個性や市民性をもつ人として見ることが必要である」と続けています。
私たちが「ひと・もの・かね」などという時、どうしてもリソースという意識にとどまりがちで個性という意識が希薄であることに気づかされます。この点を鋭く指摘し、IBMの例を引き合いに説くあたりは、さすがです。
この章の中に「IBMのイノベーション」という節があります。「仕事の拡大化方針」がそのイノベーションの一つです。
機械工の前後の工程に仕事の範囲を拡大したという単純なことですが、 これによって生産性と品質が向上したそうです。
なんだ、それだけか・・・。この話には続きがあります。実は最大の成果は、「仕事に対する誇りの増大」だったそうです。
「仕事の思想」(田坂広志)という本にこうあります。
・仕事の報酬は給料である
・仕事の報酬は能力である
・仕事の報酬は仕事である
・仕事の報酬は成長である
社員がどんな「人としての欲求と動機」を持っているのか、ともすれば我々経営者は忘れがちです。「仕事の報酬は成長である」と社員が進んで言う様な人づくり、組織づくりを目指したいものです。
佐藤 等