組織の構造をつくる【経営のヒント 82】
第17章は、「組織の構造をつくる」です。
この章は、大企業の例が並びますが今日の一言は、ちょっとドッキリです。
<ドラッカーの一言>
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健全な組織は定義が困難である。
しかし、不健全な組織の症状は指摘できる。
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新訳『現代の経営』(ダイヤモンド社)より
人間の健康の定義は、私たちも出来ません。
病気がないこと、精神的にやんでないこと・・・など、○×がないこと、というような言い方になってしまいますよね。
企業の健全さもこれによく似ています。医者が病気を指摘できるように、企業もやはりわかるのですね。ここの章では、「組織」の構造、 「組織構造」を話題にしています。
その組織の構造が間違っていると、いかに経営者や経営管理者が有能であっても優れた業績にはつながらないとドラッカーは指摘しています。 組織構造こそは、長期に優れた業績を残すための土台なのです。
組織構造の作り方しだいで、目標管理の方法や部下の育成方法が変わります。
例えば小さくとも1事業なり1店舗を任された人間の成長スピードが速かったりします。
海外の子会社の社長が親会社のトップにいきなりなったりするのは、育成の方法としては理にかなっているからなのでしょう。
この章には、もう一言含蓄のある言葉がありますのでご紹介します。
「共同体意識をもつコミュニティを実現するための原則の一致は、むしろ、具体的な仕事の進め方の多様性によって強化される」。
じっくり読まないと意味がわかりません。誤解を恐れず極端に言い表すとすれば、マニュアル人間の否定でしょうか。
具体的な場面で仕事を通してどのように行動するのが組織の目的に合い、成果を出すのか、を考えて行動すること。この繰り返しが「原則」を作り、「原則」を強化すると言えます。
マニュアルは仕事を標準化するだけで、もしかしたら本当は組織力を引き下げる要因かもしれません。
マニュアルから飛び出して、一段秀でた行動を目指す姿勢が良い組織と成果を生む、そんなことをドラッカーはこの言葉に託したのではないでしょうか。
佐藤 等