関係中心の組織-システム型組織【経営のヒント 342】
今日は、『マネジメント』<中巻>、
第47章「関係中心の組織-システム型組織」からです。
3つの組織の設計原理のうち「関係中心の組織」を取り上げます。
仕事中心、成果中心と続き、今日で終わりです。
今日取り上げるシステム型組織は、
NASAが1960年代に最初に導入したといわれています。
チーム型組織の発展形といわれ、参加する構成単位は法人だけでなく
個人となることも度々です。また法人も政府機関、大小の企業など多様です。
このような組織形態ですから多様な文化や価値観を一つの目標に向けて
マネジメントする能力が求められます。
今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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システム型組織は、明確な目標、自己規律、そして
諸々の関係とコミュニケーションに関与する
トップ・マネジメントを必要とする。
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『マネジメント<中>』p.312 1973年 ダイヤモンド社
多様性の中にもそれぞれの構成員に規律が必要であり、
一つの目標に向けた統一性が求められます。
その際に欠かせないのが、コミュニケーションです。
システム型組織の統一性の要は、人間関係です。
ドラッカー教授は、つねに対立を調停し、所轄、方針、予算、人事、
優先順位に関する論争に決着をつけていかなければならないと言いました。
システム型組織の運営は、明晰性と安定性に欠け、
採用しなくてもいい場合には回避すべきことをドラッカー教授は指摘しました。
欠点が多く、あるいは重大であるためリスクが大きいのです。
もし、どうしても採用しなければならないときは、
共通の目標、自己規律、コミュニケーションが欠かせません。
この章でドラッカー教授は、意外なことを述べています。
日本の中小零細企業の前近代性と大企業の近代性の2重経済を指摘し、
両者は構造もマネジメントも目標とするところも異なるとしました。
このような多様性の中に一国の経済を統一的に運営したことが
システム思考そのものであると分析したのです。
考えてみれば、日本人は漢字、仏教、キリスト教、開国による西洋文明など
様々な多様性を飲み込みながら全体をまとめあげ発展してきたといえます。
そう考えれば、社会そのものがシステム型組織なのかもしれません。
さらに言えばシステム思考は日本のお家芸なのかもしれません。 佐藤