起業家的柔道【経営のヒント 58】
今日は、もう一つ第17章からです。この章には、なぞの「起業家的柔道」という節があります。原書を見てもやはり”ENTREPRENEURIAL JUDO”とあります。本文の意味は、十分に理解できるのですが、この言葉とストレートにはどうしても結びつかないのです。おそらく日本の企業家の勝ちパターンのことをこのように表現しているものと推定されます。
内容は、こうです。先行者がその市場価値を十分に理解していないと、次なる企業が出てきて事業にしてしまう。一種の「創造的模倣」だと思うのですが、日本企業にこっぴどくやられ続けたためにこの言葉がでてきたのではないでしょうか?しかもこれらの企業が世界トップの地位まで上り詰めたりするものですからなおさらです。この本が書かれた1985年あたりは、「JAPAN AS NO1」に代表されるように日本礼賛時代です。ソニーのトランジスタの例が典型として出ています。
さて今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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顧客は自分にとって有用なもの、価値のあるものを
提供してくれるものに対してのみ対価を払う。
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新訳『イノベーションと起業家精神-その原理と方法-』(ダイヤモンド社)より
日本企業に成果をさらわれたアメリカの企業の犯した間違いを端的に表したのが上記の言葉です。モノの価値は企業が決めるものではなく、顧客である。こんなものと思っていたら売れたり、いいモノなので必ず売れると思っていると全然売れなかったり。価値に対する誤解は、実は世の中に満ち溢れていると思いませんか。今日の一言を頭に刻み込みたいものです。
佐藤 等