イノベーションの方法【経営のヒント 45】
第11章「イノベーションの方法」のうち前回は、イノベーションに必要な「なすべきこと」について書きました。今日は、逆に「なすべきでないこと」です。まずは一言から。
<ドラッカーの一言>
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一度に多くのことを行おうとしてはならない。
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新訳『イノベーションと起業家精神-その原理と方法-』(ダイヤモンド社)より
前回イノベーションのために「なすべきこと」として、「イノベーションに成功するためには、単純かつ具体的なものに的を絞らなければならない」をあげましたがこれと同じことです。<単純かつ具体的なもの>を核としてこれにエネルギーを一点集中することが必要不可欠です。でもこの<単純かつ具体的なもの>って見つけるのは結構な苦労です。
ドラッカーは「なすべきでないこと」を次のようにあげています。
(1)まず、利口であろうとしてはならない。
(2)次に、多角化してはならない。散漫になってはならない。一度に多くのことを行おうとしてはならない。
(3)最後に、明日のためのイノベーションを行おうとしてはならない。現在のためにイノベーションを行わなければならない。
「利口」は大勢の平凡な人に受け入れられるものという意味で、<単純かつ具体的なもの>に通じる考え方です。明日のための・・・は、「25年後には、大勢の高齢者がこれを必要とするようになる」では十分でなく、「これを必要とする高齢者はすでに大勢いる。25年後には、もっと大勢の高齢者がいる」と言えなければならないということです。イノベーションは価値に変わってはじめてイノベーションと言えるのでしたよね。
佐藤 等