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イノベーションの方法【経営のヒント 45】

第11章「イノベーションの方法」のうち前回は、イノベーションに必要な「なすべきこと」について書きました。今日は、逆に「なすべきでないこと」です。まずは一言から。

<ドラッカーの一言>
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一度に多くのことを行おうとしてはならない。
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新訳『イノベーションと起業家精神-その原理と方法-』(ダイヤモンド社)より

前回イノベーションのために「なすべきこと」として、「イノベーションに成功するためには、単純かつ具体的なものに的を絞らなければならない」をあげましたがこれと同じことです。<単純かつ具体的なもの>を核としてこれにエネルギーを一点集中することが必要不可欠です。でもこの<単純かつ具体的なもの>って見つけるのは結構な苦労です。

ドラッカーは「なすべきでないこと」を次のようにあげています。
(1)まず、利口であろうとしてはならない。
(2)次に、多角化してはならない。散漫になってはならない。一度に多くのことを行おうとしてはならない。
(3)最後に、明日のためのイノベーションを行おうとしてはならない。現在のためにイノベーションを行わなければならない。
「利口」は大勢の平凡な人に受け入れられるものという意味で、<単純かつ具体的なもの>に通じる考え方です。明日のための・・・は、「25年後には、大勢の高齢者がこれを必要とするようになる」では十分でなく、「これを必要とする高齢者はすでに大勢いる。25年後には、もっと大勢の高齢者がいる」と言えなければならないということです。イノベーションは価値に変わってはじめてイノベーションと言えるのでしたよね。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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