アイディアによるイノベーション【経営のヒント 42】
前回までにイノベーションの7つの機会をみてきました。第10章は、その付録です。章のタイトルは「アイディアによるイノベーション」です。具体的な例として、ジッパー、ボールペン、エアゾール缶などをあげており、特許のうち70、80%は、この類だとあります。何処からどう見てもボールペンは、立派なビジネスなのですが、アイディアによるイノベーションの機会は、リスクが大きく、成功の確率も小さい(失敗の確率が大きい)と続けています。この場合、焦点は失敗に当てています。しかもその失敗の確率を減らす有効な手立ても確立していないと言います。そして次の言葉です。
<ドラッカーの一言>
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起業家たる者は、いかにもろもろの成功物語に心惹かれようとも、
単なるアイディアによるイノベーションに手をつけるべきではない。
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新訳『イノベーションと起業家精神-その原理と方法-』(ダイヤモンド社)より
ドラッカーの言いたいことの第一は、起業家はまず成功確率の高いイノベーションの7つの機会に目を向け単なるアイディアについては、優先順位を最下位に置くべきということです。第二にそれにもかかわらず、その数が膨大であるため成功したときの新事業、雇用増などの経済活動の大きな源泉となるのでその社会的意義はあるということです。「単なるアイディアなのか?」この辺の判断は難しいですね。少なくとも継続してアイディアがでてくることが重要です。「1発当ててやろう」は、ビジネスではないですから。ベストセラーよりもロングセラーですね。
佐藤 等