マネジメントに求める真摯さ【経営のヒント 664】
マネジメントとは貢献の責任である。地位や肩書、権限ではなく、貢献の責任がマネジメントの仕事を規定する。したがって、マネジメントに要求される資質は、頭の良さではなく真摯さである。
『経営の真髄』<上>p.42
マネジメントは、組織をつくり、組織に方向づけを与え、一体化させ推進させる機能をもっています。それは、すべて人の力によるものです。
その人の力の源泉は、地位や肩書からくる支配力や、政治権力や所有権といった力ではなく何を行なうかという責任に由来するものです。なぜなら組織は目的によって規定される人間集団だからです。
それゆえドラッカー教授は、マネジメントに真摯さという資質を求めました。それは、最上の成果を常に求める姿勢であり、人の良い面を生かすという覚悟です。成果とは、組織の目的を実現するために顧客に起こる変化です。つまり貢献の責任とは、顧客にもたらされる価値に責任をもつということです。
マネジメントを行う者は、自分の中にある真摯さに気づき、磨く機会を手にしていることに気づかなければなりません。多くの困難は、マネジメントを行なう者の成長のためにあると言っても過言ではありません。責任を心底に据えて自分を偽らずに誠実に対応することが求められるのです。
佐藤 等(ドラッカー学会理事)