マネジメントとは「ものの考え方」である(4)~(7)【経営のヒント 669】
最も重要なこととして、組織にとって成果は常に組織の外にある。
『経営の真髄』<上>p.55
前回、マネジメントの本質は「ものの考え方」にあることを指摘しました。ドラッカー教授は、7つの「ものの考え方」を示しました。今回は、(4)~(7)を説明します。
(1)マネジメントとは人に関わるものである。
(2)マネジメントは人と人の関係に関わるものである。
(3)あらゆる組織がその成員に対し、仕事について共通のゴールと価値観を持つことを要求する。
(4)マネジメントは組織とその成員を成長させなければならない。
(5)組織は、さまざまな技術と知識を持ち、さまざまな仕事をこなす人たちからなる。
(6)組織とそのマネジメントにとって、成果の尺度は生産量や利益だけではない。
(7)組織にとって最も重要なことは、成果は常に組織の外にあるということである。
(4)「組織は、すべて学習と教育のための機関である」とドラッカー教授はいいます。組織での教育は自己学習の補助。継続学習の習慣づけの支援をすることが大切です。
(5)人は仕事をとおして成長します。自分が持っている技術や知識を一つの方向に向けることが大切です((3))。本質は、組織が成長させるのではなく、自分で成長軌道を敷くことです。組織という仕事を行うための道具を利用して自己成長を遂げるのです。
(6)組織とそのマネジメントの成果の基準は、売上や利益ではありません。それらはむしろ条件です。真の目的は成果、つまり顧客によい変化を起こすことです。そのためにマーケティング、イノベーション、生産性、人材育成などの目標という成果基準があるのです。
(7)これは、(6)でも述べました。「最も重要なこと」です。成果は、売上や利益など自分たちが欲しいものではありません。成果は、組織の外にある。つまり顧客に起こる変化であるということです。それは、ときに顧客満足という言葉で言われることもあります。
以上が、マネジメントにおける「ものの考え方」の基本です。ドラッカー教授は、基本に反するものは結局失敗するといいます。肝に銘じたい7項目です。
佐藤 等(ドラッカー学会理事)