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≪感謝の種≫

 新年明けましておめでとうございます。どのような新年をお迎えでしょうか。

 私は、久々に函館の実家で迎えることができました。平成も早いもので20年を数えました。ちなみに20年前は、私は独身でしたのでこの間いろいろなイベントがありました。しかし、昔のことは、よく忘れるもの。かなりのことが忘却の彼方に…。

 というわけで年末に昭和元年から始まる「自分史」なるものを買い求めました。買い求めたのには、訳があります。「自分のことを書きたいから」という口実で、実は父のその時々の出来事を記しておきたかったのです。昨年80歳を迎えた父は、大病もなく至極元氣ですが、元氣な今のうちがチャンス。私が実家を出て28年間の出来事は、知っているようで実はよく知らないものです。生真面目な父は、「氣長に待てよ」と適当に書いておいてという私のオーダーにも真剣です。最初躊躇していた父もその氣になり、まずは作戦成功。

 昨年末のこの通信にも書いた「人生100年計画」ですが、毎年描いていると不思議な体験をすることがあります。この100年計画は、過去の自分を振り返り、今をとらえ、未来を描きます。10代の自分、20代、30代の自分を振り返ることで別の自分に出逢うことがあります。この「100年計画」の開発者である松村寧雄氏は、「過去は変えられる」といいます。
 よく「他人と過去は変えられない」といいますが、その逆です。最初に聞いたときは、正直実感としてよくわかりませんでした。その言葉の意味するところはこうです。「今が良ければ、過去も良くなる」、「今が悪ければ、良かった過去も悪くなる」。いかがですか。あの時のあの人との出逢い。あの時のあの決断。あの時のあの失敗や悩み…。

 ここ数年繰り返し「人生100年計画」を描くことで、過去を振り返る機会を得、とても大切な宝物を発掘することが出来ました。それは、「NO1理論」の西田文朗先生の言葉でいう「恩感力」です。簡単に言えば、「感謝する心」です。様々な人との出逢いはもちろん、失敗さえも、今が良ければ感謝できることに氣づきます。感謝する心は、今はもちろん未来にも良い影響を及ぼします。

 折に触れ自らを振り返ることは、自分の中の宝物を発掘することと同じです。反省ではありません。「感謝の種」を拾う行為です。当たり前ですが「感謝」は、過去の出来事を対象にしてはじめて可能な行為です。私たちにとって父母は、間違いなく大きくそして深い感謝の対象者です。書き留めておくことで何時までも「感謝の種」を手元に置くことができます。

 私の作戦には続きがあります。父が書いた自分史に私の分を書き加えて、大切な種として子供たちに渡すことです。親が出来ることは、せいぜい良い土壌を作る手伝いが出来るだけです。どんな花を咲かせ、実をつけるかは、あくまでも本人次第ですから…。

ナレッジアドバイザー 佐藤 等

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