「(われわれの)事業は何か」「何になるか」「何であるべきか」【経営のヒント 731】
「(われわれの)事業は何か」「何になるか」「何であるべきか」は、それぞれ別の視点から検討しなければならないということである。
『経営の真髄』<上>p.217
「われわれの事業は何か」との問いは、「われわれの顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」を問うこととほぼ同義です。何を提供しているかを聞いているわけではなく、顧客が何をもって満足、効用を得ているかを問うています。常に難しい難問です。
「われわれの事業は何になるか」は、環境変化を加味するとどのよう変化していくかを問うものです。対象顧客が変化していないか。顧客が求めるものが変化していないか。このままいけばどうなってしまうのだろう…と考えることです。つまり変化を知覚し、機会を探索することにつながります。
「われわれの事業は何であるべきか」は、今日の事業と明日の事業は異なることを前提に考えます。昨日となった事業を破棄し、経営資源を解放し、明日の事業を創造するために新しい経営資源の結合を模索します。
このように異なるアプローチを要する3つの問いは、一つの組織の計画として実現させることが大切です。時間軸を考え、誰かの仕事とすることです。そのことを戦略計画とドラッカー教授はいいます。長期計画とは、事業をベースとした計画を戦略的に立てることです。コロナ明けには、とりわけ重要な計画です。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)