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「集中」【経営のヒント 471】

今日のメルマガは〔思考編〕の第5章からです。
前回ミッションを実現するには二つの要素が重要であることを示しました。

1)あげるべき成果を明らかにすること

2)資源を集中すること

今日は、ドラッカー教授がいう「集中」についてみていきたいと思います。
集中とは、短期的な集中力のことではありません。
持続的に何かに力を入れる行為です。

<ドラッカーの一言>

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集中とは、「真に意味あることは何か」「最も重要なことは何か」という観点から
時間と仕事について自ら意思決定をする勇気のことである。
この集中こそ時間や仕事の従者となることなくそれらの主人となるための唯一の方法である。

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『実践するドラッカー 〔思考編〕』p.222
原典―『経営者の条件』p.152

教授は、集中とは決める勇気であるといいます。では何を決めるのでしょうか。
「選択と集中」という言葉がありますが、集中というコンセプトの本質を表していません。
教授は、最初に行うべきことを明言しています。
「集中のための第一原則は、生産的でなくなった過去のものを捨てることである」。

「選択と集中」ではなく「廃棄と集中」が本質を言い表しています。
具体的には事業や活動の廃棄を行います。活動の廃棄によって一つの可能性を失うことがあります。
勇気が必要な理由がここにあります。

しかし廃棄によって手にできるものがあります。経営資源です。
非生産的になった事業や活動には時として優秀な人材や多額の資金が投下されています。
これらを開放することが廃棄の本質です。

そのうえで重要な活動や真に意味ある活動に経営資源を移します。
そのことを集中といいます。「選択と集中」の選択とは、どこからどこに資源を移すかを決めることです。
持続的に資源を投下し、生産性を高める行為です。まずは廃棄すべき活動を見つけることから始めましょう。

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<実践のための問い>

あなたの現在の事業や活動の中から廃棄すべきものを一つ上げて下さい。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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