≪「運命」と「宿命」≫
出張先で、何の拍子か酒席で「運命」と「宿命」の話をしていたところ、1週間のうちにお二人の経営者から、二つの違いについてそれぞれの説を伺いました。もしかしたら、この手の話に興味を持つ経営者は多いのかとふと思いましたので、今回は私の理解しているところを記してみたいと思います。
人は、「命」とよばれる素質や能力を天から与えられています。これを「天命」といい、素質や能力を知ることを「知命」といいます。ただ自分の素質や能力などをよく理解している人は、そう多くないのも現実です。
「知命」の次のステップに「立命」があります。
「立命」とは、これら素質や能力を縦横無尽に発揮して成果をあげている状態です。いつも経営塾21などで私が申し上げている「強みを活かす」ということに通じます。しかし知ることも難しい「命」を立てるのは、さらに至難の業だといえます。真の強みを活かし成果をあげている人を思い浮かべてください。周りを見渡していかがですか。かなりの少数派ではないかと思います。
さてさて「運命」と「宿命」のお話です。この二つは、天から与えられた天賦の「命」をどのように活用していくかに関係しています。その素質や能力を活用し、後天的に修練をつむことで「命」を動かし、変化させることを「運命」といいます。つまり「運命」は、自分次第でいかようにも変えられるものなのです。
もうお分かりかと思いますが、これに対する「宿命」は、「命」を活用せず、「命」を高めないこと、つまりそこに留まることを「宿命」といいます。あくまでも選択したのは、自分です。宿命観に支配されると、自分磨きを放棄することになり、成長が止まります。
以上「知命」、「立命」、「運命」、「宿命」について書かせていただきました。これらの話は、安岡正篤先生のものを基礎にしております。東洋思想の一つの側面を表すものですが、私が経営塾21などでお話しする機会の多いP.F.ドラッカー博士の「強みを活かせ」や「自己開発」、「個人の自己実現」や「個の成長」といったコンセプトに合致するものです。洋の東西、古今を問わず、真理は一致しているようです。
…ちょいと酒飲み話からこんなことを綴ってみましたが、いつもこんな話をしているわけではありませんので念のため。お酒が美味しい季節になります。楽しい仲間と楽しい話題があればなおいっそうお酒が美味しくなります。特に楽しい話題をお持ちの方、是非お声掛けください!
ナレッジアドバイザー 佐藤 等