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≪心に刻まれる知覧≫

 昨日、思いがけないお手紙をいただきました。知覧にある富屋旅館の女将さん鳥濱初代さん(トメさんのお孫さんのお嫁さん)からでした。

 前回予告どおり今回も父子旅行記です。4月号は鹿児島便に乗り込んだところまで。その後、鹿児島発の路線バスで一路目的地知覧へ。峠を越え15時ころ到着(結構遠い…)。

 近隣の武家屋敷を散策。日本でも珍しい、在宅保存。ほとんどの方がお住まい中です。知覧の別の魅力を堪能しました(もっと素晴らしさをお伝えしたかったのですが紙面が…)。

 徒歩でいよいよ『特攻の母』鳥濱トメさんの縁者が運営する富屋旅館に投宿。早々にトメさんが生前大切にされていた観音像に手を合わせ、無事到着を報告しました。紹介者のお陰でVIP待遇。食事も豪華。一人お酒をいただき絶好調で息子と会話。話が弾み、NHKの「クローズアップ現代:ドラッカー特集」を見逃してしまいました。ちょっと落胆。

 そしてなんと、当日は息子と私の2人だけの貸しきりです。「すこし怖いね」という息子。確かに、トイレも共同の本館はレトロ感いっぱい。しかも早寝したので夜中に目が覚め、夜中じゅうトメさんの娘さんの筆による『ホタル帰る』を読了。現地で読むのはリアル感いっぱいで迫ってきます。

 翌朝女将が朝食の際、挨拶にお見えになり、ここはトメさんが特攻隊の慰労のため借りていた家の広間であることを説明。約20畳の広間で次男と二人で食事をしました。天井や柱の古さが当時を彷彿とさせます。

 朝食後、女将さんからトメさんのお話を思いがけず2時間も聞かせてもらいました。息子へのビックギフトとなりました。息子へ語りかける形で話は進み、息子は涙をためながら大いに感じるところがあったようです。

 ここでトメさんのことを一言でお伝えすることは不可能です。ただお話を伺っているうちに、『特攻の母』というイメージが徐々に変わってきました。もっと、懐の大きな存在です。人のため、地域のため、お国のため一生をささげた人、そんなイメージに変わっていきました。

 高一の息子は、必ずまた来ると力強い一言。富屋旅館の宿帳にも何やら思いを記していました。あえて何を感じたかは聞きませんでした。しっかりと胸に刻んで生きて欲しいと願うばかりです。

 さて、これで父子のミニ旅行記は終わりです。昨日届いた手紙には、共通の知り合いがお互いよく知る人であったり、訪ねていった友人が最初に話した人が女将さんだったり、ご縁の不思議さが綴ってありました。西田先生、山近さんなど多数のご縁でやっといくことができた知覧。この縁は確実に次男にも繋がったようです。そこには、後世に伝えるべきメッセージがあり、それを語る人がいました。心をリセットすることができる貴重な空間でした。そんな土地を持てる幸せに感謝しています。

ナレッジアドバイザー 佐藤 等

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