ナレッジメール便【経営のヒント 507】
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◆ ◆ 経営のヒント~ドラッカーのナレッジ ◆◆ ◆◆◆
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◆◆◆ ◆ ◆ ◆ 第507号
アメリカの新大統領が日本の為替政策を円安誘導とやり玉にあげました。
また日本の自動車市場を閉鎖的だと不満を表明しています。
いずれもアメリカの貿易赤字を念頭においている発言に違いありません。
<ドラッカーの一言>
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グローバル経済が発展すれば、アメリカの国際収支は
それだけ赤字にならなければならない。
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『断絶の時代』p.71
現在、アメリカの経常収支は約4230億ドル(2015年IMF)の大幅赤字、
貿易収支の赤字(7456億ドル 2015年2/2日経)が大きな要因です。
これはダントツの世界最下位。ちなみに経常収支は以下の式で表せます。
<経常収支=貿易収支 + サービス収支 + 第一次所得収支 + 第二次所得収支経常収支>
アメリカは1991年の国際収支の黒字を最後に大幅な赤字に転じて行きます。
80年代以降のグローバル経済の進展はドラッカー教授の予見を見事に実現させました。
ドラッカー教授はその原因を言いあてます。
「グローバル経済の発展は通貨と金融の増大を要求する。
ということは、基軸通貨つまり米ドルの供給が、常に増大しなければならないということである」。
経常収支の上位国(1.中国、2.ドイツ、3.日本、4.韓国)は貿易立国でもあります。
新大統領はこれらの国に注文を順番に注文を付けているにすぎません。
ドラッカー教授の警鐘です。
「いかなる国といえども、他の国の通貨を受け取りつづけることはない。
遅かれ早かれ、基軸通貨国が財政を立て直し、国際収支を改善すべきことを要求する。
だがそのことは、グローバル経済への通貨供給を削減を意味する。
すなわちグローバル経済が発展すれば、世界的なデフレとなる。
発展すればするほど危険も大きくなる」。
教授の言葉は1969年。危険レベルは当時の比ではありません。
基軸通貨国の責任を忘れて(そもそも知らないと思われますが…)
自国第一主義を唱えることは許されない言動というべきです。
ちなみにかつての基軸通貨国イギリスの経常収支は現在もアメリカに次いで大きな赤字額となっています。
ドラッカー教授は基軸通貨制度そのものの危険を指摘しました。
1946年のブレトン・ウッズ会議で導入された制度は限界にきているのかもしれません。
教授は「問題は、基軸通貨国が、自らの優位性を誇り傲慢になることにあった。
その結果、最悪の間違いを犯すことになることであった」。
傲慢になるとき最悪の間違いを犯す…最悪の悪夢にならないことを祈っています。
佐藤 等