マネジメントを身につける基本姿勢【経営のヒント 662】
マネジメントにはサイエンスの要素があるが、サイエンスそのものではない。マネジメントとは実務である。
『経営の真髄』<上>p.33
マネジメントにはサイエンスの要素があります。それえマネジメントの仕事は、体系的に分析し、学習することができます。サイエンスといっても物理や化学の類の科学とは異なります。物事を原理原則で説明する理路をもっている、つまり論理的な側面があるということです。
具体的には、マネジメントは、事業のマネジメント、仕事のマネジメント、人のマネジメント、セルフマネジメントという4つの領域からなる体系です。それぞれの領域にも体系があります。体系的であるがゆえに教えることができ、学ぶことができるのです。
マネジメントは、勘や経験で行う時代ではありません。ドラッカー教授は、そのためにマネジメントを体系化したのです。
「本書は、新入社員から最高経営責任者(CEO)にいたるあらゆる者が、マネジメントの基本と原則を学び、体系を知り、分析を行うことによって、それぞれの仕事ぶりを改善していくことができるとの考えにたっている」。
しかし学ぶことはできるが、教わることはできない領域があります。上田惇生先生は、その領域を「人間学」と訳しました。人間学は、教わって身につくものではありません。実戦と修練によって身につくものです。つまり実務です。
「畳の上の水練」という言葉がありますが、マネジメントは最終的には、本を読んで学ぶものではなく「泳げる」というように身体能力化するものです。座学ではなく、何度も実践で失敗を繰り返し身につけるものです。
理路をもって説明し、実践で鍛える。これがマネジメントを身につける基本姿勢です。