成長のマネジメント【経営のヒント375】
今日も第60章「成長のマネジメント」からです。
では今日の一言から。
<ドラッカーの一言>
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単なる欲求ではなく、しっかりとした根拠に基づいた
成長の目標をもつ必要がある。
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『マネジメント<下>』p.251 1973年 ダイヤモンド社
成長とは単なる欲求で成就するものではありません。
それは経営政策であるとドラッカー教授は指摘しました。
第一のポイントは、成長の最低限を検討することです。
ドラッカー教授は、最低限の意味を「自らの強みと生命力と成果をあげる能力を維持すること」としました。
生き抜くための市場地位を確保しなければなりません。
成長なしには不適切な規模となり、やがて存続の危機ラインに近づき限界的な地位に追いやられます。
市場が拡大していれば、それに追いついていかなければならない。
例えば、中国市場やアジア市場、アフリカ市場で日本企業各社が採るべき経営政策は何かということです。
低成長市場においても有望なセグメントにおける成長率に比べ、
同社はどのような経営政策を採るかを決めなければなりません。
ただし成長と肥満の混同には要注意です。
利益がついてこない成長は肥満です。
筋肉質を目指しましょう。
第二のポイントは、成長の最適点を検討することです。
ドラッカー教授は、最適点の意味を「リスクと成果のバランスをとること」としました。
「成長は最高点ではなく最適点を上限とすべし」がドラッカー教授の視点です。
なぜなら、最高点を目指す思考はリスクを高めるからです。
いくつかの問いをドラッカー教授は提示しました。
「それ以上成長しようとすると資源の生産性が犠牲になる点はどこか」
「収益性を高めようとするとリスクが急激に増大する点はどこか」
「リスクを減らそうとすると生産性と収益性が犠牲になる点はどこか」
「市場地位が危うくなる点はどこか」
ドラッカー教授は、最適点を越える成長は、基本的に不健全であって永続しないと断言しました。
成長に関する経営政策の要諦は、最適点を目標に、最低点以上をクリアすることです。
安倍政権も成長戦略を打ち出しつつあります。
わが社の場合に置き換えて、一度成長に関する経営政策を検討してみましょう。
佐藤 等