マネジメント【経営のヒント378】
第61章「イノベーションのマネジメント」は、『マネジメント』全編の最終章です。
いよいよゴールを迎えます。
まずは今日の一言からです。
<ドラッカーの一言>
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これからは、イノベーションがトップマネジメント
の能力を計る試金石となる。
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『マネジメント<下>』p.269 1973年 ダイヤモンド社
『マネジメント』の最終章は、イノベーションについてです。
本書発行の1973年から10年以上経過した1985年、
ドラッカー教授は『イノベーションと企業精神』を著しました。
本章の冒頭では「マネジメントについてのあらゆる文献が
イノベーションの必要を説く。強調もしている。
ところが、イノベーションを促進し、方向づけし、
成果をあげさせるために、マネジメントや組織構造はいかにあるべきか、
何をなすべきかについてはほとんど言及していない」と述べています。
つまり、イノベーションをどのように組織で行っていくかについては、
方法が定まっていなかったのです。
ドラッカー教授のイノベーション論は、時代の最先端であったことがわかります。
時代がイノベーションを求めていたことを
「われわれはいま、一九世紀後半の数十年に似た激動の時代に入った」との
認識を挙げて説明しました。
安定の時代から一九世紀後半から数十年の激変の時代に、
発電機、真空管、タイプライター、自動車、電球、
人造繊維、トラクター、路面電車、合成医薬品、電話、ラジオ、
飛行機、近代病院、アメリカ型の大学など
今の私たちの生活の根幹となっているものが生まれました。
そして時代はまた安定期へ。
ドラッカー教授曰く、「1914年以降1950年代の終わりに
コンピューターが実用させるまでの間、大きな産業は生まれなかった。」
1960年代に入り時代はまた動き出します。
ユーロダラー、IMFの特別引き出し権、変動相場制などの
社会的制度をイノベーションの代表的なものとして挙げました。
ドラッカー教授は、これらの変化の時代を『断絶の時代』(1969年)で描き、
その第1部を企業家の時代とし、イノベーションの重要性を強調しました。
今日の一言は、その流れを受けたものです。
激変の時代は、21世紀になっても続いています。
ドラッカー教授は、断絶の時代(変化の時代)の終わりを2010~2020年頃と予見しました。
今私たちは、時代の変わり目を迎えようとしています。
もうしばらく続く変化の時代は、イノベーション能力が問われます。
次の安定の時代を迎えられるかどうかは、その能力にかかっているのです。
佐藤 等