大企業のマネジメント【経営のヒント 357】
今日も第54章。
「小企業のマネジメント、中企業のマネジメント、大企業のマネジメント」からです。
今回は、大企業に関するものです。
まずは今日の一言から。
<ドラッカーの一言>
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大企業では、基本的に人と人とが
直接知り合うことは難しい。
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『マネジメント<下>』p.83 1973年 ダイヤモンド社
これまで話題にしてきた小企業と中企業は、お互いに顔が見えるという点において大企業とは異なります。
前者は顔が見えるので、互いに知り合い、長期に関係を維持することができます。
大企業は、トップマネジメントが基幹的な人間に直接触れることがあまりないという意味で、顔が見えない中で経営を行わなければ成りません。
このため組織構造をいかに作るかが大きな問題になります。
作り方次第で、成果をあげるための結集力が異なります。
組織構造を通じてお互いの役割を理解し、最終の成果を共有します。
大企業の組織構造の基本は、連邦分権組織です。
それが馴染まないときは、擬似分権組織を用います。
これらに加えてプロジェクトチーム名などチーム型組織を駆使します。
これらは、第45章、第46章のテーマでした。
大企業のトップマネジメントの役割も中企業とは異なります。
全体の成果が見え難いという特徴が大企業にはあります。
それゆえ、なすべき貢献、行うべき仕事と決定、情報の流れ、他の部署との関係など頭に入れながら組織構造を用いて、つまりミドルマネジャーを用いて全員にミッションの重要性を繰り返し説き、成果を明らかにし、事業の目標や戦略を周知させなければなりません。
そのためのミドルマネジャーの教育は欠かせません。
重要な点として、仕事を通じてともに育つという企業風土の醸成が欠かせません。
トップマネジメントの方針で牽引することが難しいからです。
そのような企業風土のための重要な要素として横の関係性の強化があります。
いったん解決すべき課題が持ち上がれば、他の部署の人と直接話ができる環境は重要です。
さらに大企業の組織構造は、複雑で官僚的で、機動性を著しく欠くという特徴があります。
それはイノベーションのための組織体としては、不利な一面でもあります。
イノベーションは常に小さく、大企業にはその経験が乏しいのが現実です。
それゆえイノベーションの専門部署を持つなどの工夫が必要です。
大企業の病理の根本に外部からの距離の長さがあります。
第一に顧客から遠ざかり、市場の変化を感知する能力に劣る面があります。
とくにトップマネジメントには情報が届き難く、変化対応が遅れがちです。
組織の規模はそれぞれの特徴を作り出し、それゆえマネジメントの姿勢も異なることを要請しています。
私たちは、それぞれに違いがあることを良く理解し、それぞれの規模のステージでなすべきことをなし、次のステージに行くために何が不足しているかを知り、それらをいかに補充、修得していくのかのプランを持ち、実行していく必要があります。
今一度、組織規模という観点からマネジメントを俯瞰してください。
佐藤 等