最終章「結論:マネジメントの正当性」【経営のヒント 389】
今日も『マネジメント』の最終章「結論:マネジメントの正当性」からです。
<ドラッカーの一言>
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組織をして、社会、経済、コミュニティ、
一人ひとりの人間のために成果をあげさせることが、
今日のマネジメントの役割である。
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『マネジメント<下>』p.298 1973年 ダイヤモンド社
前回のメール便で「マネジメントとは体系である」ことを述べました。
ドラッカー教授は再度、今日の<ドラッカーの一言>に続けて
「そのためにはまず、体系としてのマネジメントを知る必要がある」としました。
成果をあげるためには体系を知ることというのです。
その前に「組織をして、社会、経済、コミュニティ、一人ひとりの人間のために」に注目しておきましょう。
組織という道具(手段)をうまく使って、社会における使命を遂行しながら社会、経済、コミュニティ、
一人ひとりの人間のために成果をあげる(目的)ことの重要性を指摘しています。
手段と目的の関係をよくよく考えなければなりません。
主役は社会や個人であることを。
ドラッカー教授は、これらを受けてマネジメントの3つの役割を次のように示しました。
1)組織が自らの使命を果たすようマネジメントすること
2)仕事を生産的なものとし働く者に成果をあげさせること
3)よりよい社会をつくること
ドラッカー教授は、体系の他に知るべきこととして「体系、手法、課題、責任」を挙げました。
「課題、責任」は、『マネジメント』のサブタイトル「課題・責任・実践」にある2つです。
教授は、当時のマネジメント・ブームはスキルと能力という内部に焦点を合わせたものであり、
片手落ちであることを指摘しました。
このような傾向は今でもあるかもしれません。
組織は社会の機関であることから外向きのマネジメントが不可欠です。
1)のマネジメントはそのためのものです。
2)は1)の使命を果たし続けるための仕組みや人のマネジメントについてのものです。
これがドラッカー教授のマネジメントの二大体系です。
私の著書でいえば1)は『実践するドラッカー』[事業編][利益とは何か]。
2)には同[思考編][行動編][チーム編]が該当します。
このシリーズは体系化を学ぶ一助となるように編集されています。
さてマネジメントは体系を理解したうえで、課題を抽出し、責任をもって解決の方策を実行します。
しかしこの後、ドラッカー教授は、マネジメントは「自らの役割を果たすだけでは不十分である。
成果をあげるだけでは不十分である」と述べました。
まだ何かあるというのです。
その先は次回にしたいと思います。
次回はいよいよ本章、本書の結論について述べます。
最終回です。
佐藤 等