傍観者の時代【経営のヒント 397】
ドラッカー教授の半自伝といわれている『傍観者の時代』、若きドラッカーの回想が面白いです。
今日の一言は、ドラッカー教授の体質を形成した一つの要因となっています。
<ドラッカーの一言>
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私はこれまで一流と呼ばれる
教師を観察してきた。
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『マネジメント<下>』p.56 1973年 ダイヤモンド社
教師観察はドラッカー教授の趣味でした。
東奔西走、教師観察を続けました。
ドラッカー教授のお眼鏡に叶った教師は二人、シュワルツワルト・スクール付設小学校の
エルザとゾフィーという女性教師でした。
エルザは4年生の担任でした。
学期始めに三週間学力検査を行い、その後面談が行われました。
第一声は次のような言葉でした。
「ここに座りなさい。何が得意と思うかいってみて」
3週間のうちに、エルザ先生はドラッカー少年の得意なものを見つけていました。
「そうね。本を読むことね…」
そうしてこう続けたのです。
「でも得意なものは、もう一つあるでしょ。何?」
ドラッカー少年は首を振ります。
「作文が上手。でも、これまで練習してこなかった。とりあえず作文の練習をしましょう。
週に二つ書きなさい。・・・」
こうして文筆家ドラッカーの生涯は始まったのです。
ドラッカー教授がのちに、人の強みを生かせ、という原点もここにあります。
強みは、自ら自覚できないものもあります。
第三者に探してもらうという方法も時に重要です。
「強みを生かす」という組織文化を持つならば、やがて誰かが他人の強みを教えてくれて
自他の強みが明らかになるかもしれません。
相手の強みを見つけようとすると、自分でも強みを生かす体質に改善できるとドラッカー教授は明言しました。
強みや得意なことについて知ることの大切さ、ときに人生を変えることもあることを組織で共有したいものです。
佐藤 等