マネジメントとは教養である【経営のヒント 670】
マネジメントとは実践である。その成否は成果で判定される。
『経営の真髄』<上>p.56
マネジメントの成否は成果にあります。つまり組織の外の世界に変化をもたらすことにあります。第一に、顧客に満足をもたらすことです。
そのために必要なものが「実践」です。実践にはスキルが必要です。しかし同時に「マネジメントは人間に関わるものであり、価値観や成長に関わるものである。すなわち、それは人間学である」と続けました。
ドラッカー教授は、このことを受けて「マネジメントとは、まさに伝統的な意味における教養である」としました。リベラルアーツと訳される「教養」。
ドラッカー教授は、リベラルアーツの原義を次の表現に込めます。「知識、認識、英知、リーダーシップに関わりを持つがゆえに自由(リベラル)な人にふさわしいものであり、実践であるがゆえに身につける(アーツ)べきものである」―()内は筆者加筆。
ドラッカー教授が挙げた代表的な領域です。
・心理学
・哲学
・経済学
・歴史
・倫理
・物理
・人文科学
・社会科学
・自然科学
実に広大な領域ですが、マネジメントが単なるスキルの寄せ集めではないことがわかります。人類の古い叡智としてのリベラルアーツがマネジメントという姿で私たちの目の前に出現しているのです。自由で機能する社会を手にするために、実学(アーツ)としてマネジメントを身につけたいものです。
佐藤 等(ドラッカー学会理事)