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「プロの経営者、アルフレッド・スローン」【経営のヒント 420】

すでに6回も続いている『傍観者の時代』の第14章
「プロの経営者、アルフレッド・スローン」ですが、まだまだ続きます。

<ドラッカーの一言>
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人の気に障ることも口にし、聞きにくいことも
聞くという知的な真摯さには、いつしか私も
敬意を払うようになっていた。
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『傍観者の時代』p.317 1979年 ダイヤモンド社

「文句があるなら、シボレー事業部をどう分権化したらいいか教えてもらいたいですね」と
B級西部劇のシェリフのように、彼はいつもこう言いました。
声の主はGMのシボレー事業部を率いたマービン・コイルです。

ドラッカー教授がGMの調査に入っていた頃、
シボレー事業部はGMの半分を占める存在でした。
単体でも巨大企業ということです。
分権制を適用していたGMは車種群別に事業部が設けられていました。
つまり最大事業部を率いていたのがマービン・コイルでした。

当時、分権制は理想的な組織構造として世界に広まりつつありました。
しかし、コイルは分権制が万能ではないことを知っていたのです。
シボレー事業部は規模が大きいだけで単一の自動車群を生産しており、
分割は不可能でした。

彼は「人材開発ということになると、
なぜかシボレー出身のトップ・マネジメントが少なく、
多くは小さな事業部出身の者だということが気になるんですよ」と述べたのです。
当時GMでは人材開発のための教育をばかにしていたとドラッカー教授は記しています。

しかしコイルは、読書プログラム、特別講義、セミナーなどを活用して
人材育成を行っていました。
シボレー事業部という最大の事業部を率いていたからこそ、見えるものがあったのです。
それはいずれも本質的なものでした。
そして手にした本質的なことは人の気に障ることでも口にし、
本質を手に入れるために聞きにくいこともあえて聞いたのです。

ドラッカー教授はそのことを「知的な真摯さ」と呼びました。
私心なく本質的なもの追究し、追い求めるコイルの姿勢に感銘を受け、
尊敬の念を抱くようになったのです。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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