「プロの経営者、アルフレッド・スローン」【経営のヒント 427】
今日も『傍観者の時代』の第14章「プロの経営者、アルフレッド・スローン」からです。
14回目にして主役登場。
では今日の一言です。
<ドラッカーの一言>
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君の将来のことは私が考える。
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『傍観者の時代』p.332 1979年 ダイヤモンド社
「スローンの名をいうときには、みな声の調子が変わった」
とドラッカー教授は伝えています。
ドレイスタット、ウィルソンなど名だたるGMの幹部の全員がそうだったといいます。
「『スローンさんも賛成です』というときは、
あたかも『聖書』を引用しているかの感があった」と述べています。
さらにそれら幹部は、それぞれスローンがらみのエピソードをもっていたといいます。
今日の一言は、第421号に掲載したドレイスタットに関わるエピソードです。
「私が1932年の経営委員会に割り込んで、キャデラックを救うチャンスをくださいといったとき、
幹部の一人から、失敗したらGMはクビだぞといわれたんです。
私は覚悟していますといいました」
「そうしたら、スローンさんが、そんなことはしない。
ドレイスタット君、失敗したらキャデラックにいることはできないだろう。
そもそもキャデラック事業部がなくなってしまうんだからね」
「でもGMがあるかぎり、そして私が経営しているかぎり、
責任をもって積極的に動くという勇気と創造力のある人には、
必ず働いてもらう場があるよ。君はキャデラック事業部のことだけを考えればよい。
君の将来のことは私が考える、といってくれたんです」
スローンは会社ではいつも堅苦しく、
大笑いすることも冗談を言うこともなかったといいます。
あえてそのように振舞っていたようです。
ドラッカー教授はスローンの注目すべき資質を、
私情をはさまないことだと指摘しました。
ドレイスタットの回顧も、一見すると温情主義の塊とも見えますが、
事実は合理性と公平性を貫こうとした結果だったのです。
ドラッカー教授は、スローンから多くのことを学び取ります。
それらはまた次の機会に。
佐藤 等