「プロの経営者、アルフレッド・スローン」【経営のヒント 431】
今年最後のメルマガ、今日も『傍観者の時代』の
第14章「プロの経営者、アルフレッド・スローン」からです。
この章から今日で18回目になります。
<ドラッカーの一言>
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「全員賛成ということでよろしいか」。
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『傍観者の時代』p.336 1979年 ダイヤモンド社
スローン流意思決定の真髄として知られているものに
「全会一致では意思決定するな」という原則があります。
ドラッカー教授が目撃した一場面は、まさにその瞬間でした。
教授の記憶では、広報担当のポール・ギャレットがあるキャンペーン計画を
会議に提案したときのことです。
提案内容の素晴らしさから、異論が出ず、全員が賛意を示していました。
教授も「大賛成のはずだった」と記しています。
この場面でスローンは、「全員賛成ということでよろしいか」と問います。
「そうです。スローンさん」と答える参加者。
そのとき言い放った一言が衝撃的です。
「それでは、考える時間をとるために、決定は一か月先に延ばしたいと思う」。
実際、提案は1ケ月後に大幅に修正されました。
ドラッカー教授は、スローン流の意思決定の特徴を「賛成と反対の数を数えるようなことはしなかった。
彼は、問題への理解を深めることに力を入れていた」と述べました。
答えを得る前に、問題への理解を深める。
この原則もなかなか遵守が難しいものです。
即断即決をもって意思決定力があると評する向きもありますが、
間違った問題に対する正しい答えほど的外れのものはないのです。
見習いたい原則です。
佐藤 等