スローンが考える「責任と権限」についてです【経営のヒント 434】
今日も『傍観者の時代』の第14章「プロの経営者、アルフレッド・スローン」からです。
21回目になります。
今日は、スローンが考える「責任と権限」についてです。
<ドラッカーの一言>
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「権限と責任は対です。」
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『傍観者の時代』p.341 1979年 ダイヤモンド社
ドラッカー教授は企業の社会的責任をも問題にしていました。
職場コミュニティや組合関係の問題がこれに属します。
しかし
「スローンにとっては、社会的責任なるものはプロならざるよりも悪いことだった。
それは無責任であって権力の濫用ともいうべきもの」と考えていました。
ドラッカー教授は、自分も参加していた社外の会議でのある一幕を描写しました。
ある会社のCEO:「われわれには高等教育に責任があります」
スローン:「それでは、われわれはどのような権限をもっていますか」
ある会社のCEO:「権限はない」
スローン:「それなら責任について話すのはやめようではありませんか。
権限と責任は対です。権限をもちたくなく、またもつべきでないといわれるのであれば、
責任についてもいってはならないと思います。
逆に責任をもちたくなく、またもつべきでないというのならば、
権限についていってはならないと思います」
この考えがスローンのマネジメントの原則でした。
ドラッカー教授はいいます。
「これは、政治理論と政治史が最初に教えることである」と。
「責任なき権限に正統性はなく、権限なき責任にも正統性はない。いずれも専制を招く」
と断じました。
この政治の原則がGMを自動車産業の雄に押し上げました。
権限と責任の範囲の一致、不一致はいつも気にかけていなければならないのです。
佐藤 等