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スローンが考える「責任と権限」についてです【経営のヒント 434】

今日も『傍観者の時代』の第14章「プロの経営者、アルフレッド・スローン」からです。
21回目になります。
今日は、スローンが考える「責任と権限」についてです。

<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
「権限と責任は対です。」
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『傍観者の時代』p.341 1979年 ダイヤモンド社

ドラッカー教授は企業の社会的責任をも問題にしていました。
職場コミュニティや組合関係の問題がこれに属します。
しかし
「スローンにとっては、社会的責任なるものはプロならざるよりも悪いことだった。
それは無責任であって権力の濫用ともいうべきもの」と考えていました。

ドラッカー教授は、自分も参加していた社外の会議でのある一幕を描写しました。

ある会社のCEO:「われわれには高等教育に責任があります」

スローン:「それでは、われわれはどのような権限をもっていますか」

ある会社のCEO:「権限はない」

スローン:「それなら責任について話すのはやめようではありませんか。
権限と責任は対です。権限をもちたくなく、またもつべきでないといわれるのであれば、
責任についてもいってはならないと思います。
逆に責任をもちたくなく、またもつべきでないというのならば、
権限についていってはならないと思います」

この考えがスローンのマネジメントの原則でした。
ドラッカー教授はいいます。
「これは、政治理論と政治史が最初に教えることである」と。
「責任なき権限に正統性はなく、権限なき責任にも正統性はない。いずれも専制を招く」
と断じました。
この政治の原則がGMを自動車産業の雄に押し上げました。
権限と責任の範囲の一致、不一致はいつも気にかけていなければならないのです。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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