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何を残して何を外に出すのか【経営のヒント 682】

第三に、事業は、必要とされるあらゆる活動を同一のマネジメントの傘下に置くことによって、最もよくマネジメントされるとされた。
『経営の真髄』<上>p.90

すべてを傘下に置くことが有効であると考えた時期がありました。しかし常識は反転しました。事業に関する知識が、専門化、高度化したためすべての活動を内部で行うには費用がかかりすぎるからです。

しかもこれらの知識の陳腐化スピードは年々早くなっています。維持コストが加速度的に増えるということです。これが知識社会の特徴です。

一方知識社会においては、IT技術の進展により、コミュニケーション・コストが年々低くなっています。このような状況では、すべてを傘下に置く内部化、あるいは統合化は、高コストとなります。20世紀末には、アウトソーシングという考え方が急速に広まりました。

何を残して何を外に出すのか。この問いが重要な時代となっています。わが社の中核的な能力は何かが問われているのです。それは、同時にどの領域において知識の卓越性を高めるのかを決めることでもあります。一度、立ち止まって考えたい重要な問いです。

 

佐藤 等(ドラッカー学会理事)

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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