マネジャー【経営のヒント 456】
今日のテーマは「マネジャー」の人格的要件についてです。
<ドラッカーの一言>
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真摯さの定義は難しい。だが、マネジャーとして失格とすべき真摯さの欠如を定義することは難しくない。
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『実践するドラッカー チーム編』p.224
原典―『マネジメント エッセンシャル版』p.147
ドラッカー教授は、知識やスキル、能力など仕事で必要なものを具体的に明示しました。
時間管理や強みを生かすことなどの「成果をあげる能力」はその代表的なものです。
一方で教授は人格的な側面も重視しました。真摯さはその象徴的な言葉です。
訳者の上田先生はintegrityを真摯さと訳しました。
同じような言葉honestyよりも堅い場合に使われるようですから、
単に誠実と訳すよりも日本人には規律性を伴った言葉として適訳のような気がします。
integrity は、integration(完全にする)を原義とした言葉です。
完全無欠の人格...?少し怖いですね。
別に「統合」という意味があり、こちらが意味するところにより近いと思います。
つまり何かいくつかの条件を満たした人というよりも全人格に関わるものと考えられます。
それゆえ条件積み上げ方式では定義できず、
しかし一見して、あるいは一週間も働いてみると何か変?
と気づいてしまうようなものとしてドラッカー教授は「真摯さの欠如の定義」をしました。以下の通りです。
1.強みよりも弱みに目を向ける者
2.何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心をもつ者
3.真摯さよりも頭のよさを重視する者
4.部下に脅威を感じる者
5.自らの仕事に高い基準を設定しないもの
6.実践家ではなく評論家である者
これらは一つでも欠ければ、真摯さに欠ける者としてマネジャーに就けてはなりません。
組織の文化を破壊し、成果をあげることに著しい障害となります。
「AではなくB」という表現や「〇〇ではない」という表現は、「真摯であれ」と表現するよりも、
現場知として伝わりやすい形態をしています。
このような工夫はどのような場合でも考えられます。
現場に落とし込みやすい表現を工夫してみましょう。
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<実践のための問い>
どのようにすれば、誰が正しいかよりも何が正しいかに関心を向けることができますか?
佐藤 等