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利益に関して【経営のヒント 484】

今月は利益に関して三話とりあげたいと思います。今日はその二回目です。

「仮に企業に目的があるとすれば、利益をあげることはその目的に優先するのでしょうか?
そもそも利益をあげることは目的でしょうか?この点は次回に整理します。」

前回、上記のように問いかけました。

その答えがドラッカー教授の次の言葉です。

<ドラッカーの一言>
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利益は、個々の企業にとっても、社会にとっても必要である。
しかしそれは、企業や企業活動にとって、目的ではなく条件である。
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『実践するドラッカー 〔利益とは何か〕』p6.
『マネジメント』<上>p.71

利益をあげることを企業の目的だと勘違いしている人がいます。
利益は必要ですが目的ではありません。それは人生においてお金が目的ではないのと似ています。
利益もお金も目標にはなりえても目的にはなりえません。利益やお金は手段に過ぎないからです。

では企業の目的は何でしょうか。それは社会において特定の使命を果たすことです。
企業は社会にあって特定の役割を果たす存在です。具体的には商品やサービスを提供し続けることです。
それが最大の存在意義です。その商品やサービスに「特定性」があればあるほど存在意義は高まります。
なくなっては社会、つまり顧客が困るということです。

ドラッカー教授は事業の目的は顧客の創造であるといます。
企業の目的とともに記憶にとどめて下さい。
企業や事業の目的は社会や顧客に役立つことです。
利益は商品やサービスの供給を継続し、社会で役割を果たし続けるために必要なものです。

利益は目標になりえますが、「条件」とは目標以上に厳しい基準です。
何期も赤字が続くと事業や企業の継続性が難しくなります。
その結果、商品やサービスの供給責任を果たせなくなります。
利益は社会にとっても必要不可欠なものであるとドラッカー教授は明言しました。

企業に利益が必要な理由をはっきりと社員に伝えましょう。
そうすることで利益の使い方が問題になります。
公私混同はアウトです。利益は経営者のものではありません。
企業のものであり、社会のものです。
経営者はヒト、モノ、カネを社会から預かっているからです。

最後にもう一つ非営利組織についての重大な誤解のお話です。
非営利組織は利益を生んではいけないという大変困った誤解です。
非営利組織であっても利益をあげなければなりません。
収入超過でなければ早晩、組織の継続性に支障を期待します。
自明のことです。

非営利組織の意味は営利組織のように株主などの資金提供者との関係が切断されていることです。
営利企業への出資者には配当などを受け取る権利があります。
しかし非営利組織の資金提供者、たとえば寄付者には利益(収支超過分)を受け取る権利はありません。
営利、非営利の違いはただその一点です。

非営利組織の経営者もやはり組織存続には利益が必要なことを明言しなければなりません。
それが組織と社会のためだからです。
利益をあげることは悪であると思って働くスタッフの誤解を解かなければなりません。

利益に関する社会に存在する誤解は頑迷です。『実践するドラッカー〔利益とは何か〕』には五つの誤解を取り上げました。
是非ご覧ください。誤解したまま良い経営を実現し続けることは不可能です。

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<実践のための問い>
あなたの組織があげなければならない最低限の利益はいくらですか?

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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