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コミュニケーションと情報は違う【経営のヒント 498】

先月に引き続きコミュニケーションをテーマにお伝えします。
前号では、「コミュニケーションと情報は違う」というコミュニケーションの4つの原理の一つを取り上げました。

<ドラッカーの一言>

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コミュニケーションを成立させるものは、受け手である。
コミュニケーションの内容を発する者、すなわち
コミュニケーターではない。彼は発するだけである。
聞く者がいなければ、コミュニケーションは成立しない。
意味のない音波しかない。

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『実践するドラッカー 〔チーム編〕』p.174
『マネジメント[エッセンシャル版]』p.158

前号で「コミュニケーションは知覚の対象であり、情報は論理の対象である」
というドラッカー教授の言葉を紹介しました。
前半部分が2つ目のコミュニケーションの原理を表しています。
すなわち「コミュニケーションは知覚の対象である」ということです。

今日紹介した言葉はそのことを説明しています。
知覚とは受け手の問題であるということです。
受け手に発し手が意図していることが到達して
はじめてコミュニケーションが成立することを表現しています。

コミュニケーション力といえば発し手の問題と相場は決まっています。
たとえばコミュニケーションに関する本でも
発し手のことに終始しているものが結構あります。

ドラッカー教授はソクラテスの言葉を引用して
「大工と話すときは、大工の言葉を使え」と述べました。
聞いている相手がわかる言葉で話せということです。

職場ではマネジメント言語で話すことが求められます。
日常使っている言葉とは異なるもののあります。

たとえばドラッカー・マネジメントの中核にある言葉
「成果」は日常後の成果とは異なります。
マネジメント言語では「成果=外の世界における変化」です。
自分や自分たちが手に入れたいものという意味ではありません。

コミュニケーションの前提に共通の言葉を使うということがあります。
職場で使う言葉の意味が整ってくると組織力が上がってきます。
言葉が整わないうちに様々な施策、計画の実行を行っても成果がでない理由の一つです。

マネジメントを組織に導入する際には3つのステップが必要です。

1.コアチームを作る―組織全体人員の5%程度から始め20%を目指す

2.コアチームの言葉を整える―読書会などで必要な言葉の意味を共有する

3.上記が整った後、施策等を行う。

このようなステップでコミュニケーション環境を整えて下さい。

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<実践のための問い>

あなたの職場で共有されている代表的な言葉を5つ挙げてください。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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