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すでに起こった未来【経営のヒント 532】

人口構造の変化は最も確実な未来だとドラッカー教授は言います。

このメルマガでは連続して、人口問題に関連して人生100年時代を
「すでに起こった未来」と位置づける『ライフシフト』という本を
題材に未来を投影してきました。今回もその続きです。
まずはドラッカー教授の言葉を紹介します。

<ドラッカーの一言>

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知識労働のほうが収入が多く安定しているために、
知識への投資が中心的な支出項目となった。
知識の生産性が経済の生産性、競争力、経済発展
の鍵となった。

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『断絶の時代』p.272

1969年、ドラッカー教授は『断絶の時代』で高らかに知識社会の
到来を宣言しました。
そして「知識は、(中略)仕事の生産性と働く者の人生を大きく変えた」と
いうように社会の構成員の人生に影響を及ぼすようになりました。

ドラッカー教授が知識社会の到来を告げてから約60年が
経とうとしています。
人類は劇的に長寿化し、先進国では人生100年時代も目前です。

まさに『ライフシフト』が起こっています。
そのような時代において知識、知識労働、知識労働者はどのように
位置づけられていくのでしょうか。

前回、前々回とお金や不動産などの有形資産とともに
無形資産(生産性資産、活力資産、変身資産)の存在が
重要であることを述べました。

ドラッカー教授の「知識」は生産性資産に当たるものです。
『ライフシフト』では「学習と教育の投資効果」について
触れています。順を追って紹介します。

「長く生産的な人生を送るためには、スキルと知識に投資することが
不可欠だ。学習と教育は大きな金銭的恩恵をもたらす」とし、
具体的な数字を紹介しています。

「教育の投資利益率は、インフレ率に加えて15%ということになる。
この投資利益率が今後も続くなら、長寿化により増えた時間の
一部は教育に投資されるだろう」。

「教育の投資利益率が高くなれば、大学に進む人の割合が上昇する。
その結果、いまではアメリカの労働人口の約25~30%が大卒の
学歴をもつようになった。この割合はいまも増え続けている」。

またさらなる投資について次のように述べています。
「大卒者が珍しくなくなっている状況で、テクノロジーの進歩が
さらに続けば、長くなった人生の一部の時間を使って大学院に
進もうと考える人がでてくるのは自然なことだ」。

この点において重要なのは単なる学歴ではありません。
「スキルと知識の獲得に関する『なに』と『いつ』と『どのように』が
大きく様変わりすることは間違いない。
100年ライフが当たり前になれば、人生の早い時期に一度に
まとめて知識を身につける時代は終わるかもしれない。
テクノロジーが目を見張る進歩を遂げると予想される以上、
キャリアの初期に身につけた専門技能を頼りに長い勤労人生を
生き抜けるとは考えにくい」。

しかし投資効果という基準から考えると次のような側面も見逃せません。
「将来どこかで大きな転換点が訪れて、教育の投資利益率が
落ち込み、高学歴化の進行が止まる可能性もある」。

たとえば日本の大学進学率は50%を超えています。
専門学校を合わせると80%以上です。
少子化の影響で定員割れが常態になっている大学も数多くあります。
このような状況ではすでに投資利益率は低減しているのかも
しれません。いずれにしても知識資産の取得の仕方には工夫が
求められています。

学習は生涯続きます。
貴方は「なにを」、「いつ」「どのように」学びますか?

【追記】
私たち、法務会計プラザは開設20周年を記念して、
<LIFE SHIFTの時代>と題し11月15日に講演会を行います。当日は、
宮澤弦さん(ヤフー上級執行役員)×孫泰蔵さん(ガンホー創業者)に、
LIFE SHIFのテーマで対談をお願いしています。
これからの人生を考える大切な1日になると思います。

佐藤 等

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