断絶の時代【経営のヒント 516】
フランスが自らの選択をしました。
EU残留かEU離脱かは、自国第一主義VSグローバル主義の戦いでもあります。
イギリスやアメリカは自国第一主義に舵を切ろうとしています。
<ドラッカーの一言>
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先進国は、国外に目を向け、グローバル経済に従って
国内政策を定めなければならない。
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『断絶の時代』p.55
グローバルとは経済上の概念といっても言い過ぎではありません。
国民国家というコンセプトの下、グローバル政治が主になることはありません。
国家に国民がいるにもかかわらずヒト・モノ・カネがグローバル化していきます。
つまり政治とは別に経済が動く。富は偏在し、国民の格差が広がる。それが現在の姿です。
ドラッカー教授は1960年代からグローバル経済に目を向けていました。
経済と国内政策、つまり政治の間にギャップが生まれることは当然であると警鐘を鳴らしていました。
冒頭の言葉には続きがあります。
「もちろん、グローバル経済を最上位に位置づけなければならないということではない。
もっと微妙なことである。グローバル経済を尺度として使わなければならないということである」。
EUは経済を超えて政治にまでグローバル化を進めました。
国民国家というコンセプトに対する挑戦です。
つまり国家よりEUの政策が優先するのか?という根源問題に挑んでいます。
イギリスはNOといいましたが、
グローバル経済のメリットは享受したいと離脱の仕方のあり方を模索しています。
一方、経済と政治は不可分との立場をとらざるをえないEUサイドはいい所取りを許さない構えです。
日本と同じ島国で伝統的な海洋国家にあって
政治と経済をどのようにカジ取りしていくかが注目されています。
ドラッカー教授はグローバル経済を尺度として使うことを提唱しました。
そしてグローバル経済化を最も効果的に進めた国は日本であると述べました。
日本は世界で最も移民(ヒトの移動)に非寛容な国です。
それは政治問題であり、選択の問題です。
しかし経済のグローバル化は飛躍的に実現しました。
日本は、ここにきて経済問題のキーとなる労働人口の減少という現実に直面しています。
はたして政治は動くのでしょうか?
21世紀における日本の最大級の課題の一つです。
佐藤 等