ポスト資本主義社会【経営のヒント 521】
次の文章は『ポスト資本主義社会』の有名な冒頭部分
「西洋の歴史では、数百年に一度際立った転換が起こる。
世界は歴史の境界を超える」に続く文章です。
<ドラッカーの一言>
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
社会は数十年をかけて次の新しい時代に備える。世界観を
変え、価値観を変える。社会構造を変え、政治構造を変える。
技術と芸術を変え、機関を変える。やがて50年後には新しい
世界が生まれる。
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
『ポスト資本主義社会』p.1
現在は歴史の転換期にあるといわれています。
新しい社会は2030年頃に最終的な姿を現すといわれています。
私たちはそのただ中にいるということです。
その中にいる私たちは日々の仕事や生活に追われていると大きな
流れを見失いがちです。
つまり構造の変化は、少しずつもたらされるため気がつかないのです。
例えば、携帯電話の普及は私たちに新しい価値観をもたらしました。
多くの人が待ち合わせ場所と時間はアバウトでいいと思って行動しています。
20世紀には考えもつかない価値観です。場所を特定し、動かないでその場で
待つという価値観です。
技術が行動を変え、いつの間にか思考習慣が変わってしまいました。
平成生まれの子供たちには、待ち合わせ場所と時間という情報の重要性を
説いても理解させことはできません。
携帯電話は、いつの間にかスマートフォンが中心的な存在になっていました。
日々、ガラケイからスマホに乗り換えが進み、2015年度に逆転しました。
日本では2000年頃に登場した高機能携帯電話(のちのスマホ)は、
少しずつ台数を増やし、ついに構造変化を起こして行ったのです。
現在のスマートフォンのインフラである4Gと呼ばれる第4世代移動通信
システムですが、2020年頃には5Gの商業運用が始まるといわれています。
通信速度が格段に上がり、人間が「瞬時」と感じるレベルになるといわれています。
車の自動運転には必須のインフラです。
自動運転が実現すればタクシードライバーは職を失うかもしれません。
まさに技術が社会構造を変えるのです。
おそらく駐車場という「機関」もなくなるだろうといわれています。
日々の中で変化が見えにくいものも「構造の変化」という大きな流れに
着目し、自信が生きてきた過去数十年を振り返ればいくつかのレールを
感じることができるでしょう。
何が無くなり、何が生まれたか。これから何が生まれそうで、
何が無くなりそうなのか。
そのように自ら考える習慣こそが、歴史の転換期には必要ではないでしょうか。
佐藤 等