人口問題に関連して【経営のヒント 531】
人口構造の変化は最も確実な未来だとドラッカー教授は言います。
このメルマガでは連続して、人口問題に関連して『ライフシフト』と
いう本を題材に未来を投影してきました。同書のテーマの確認です。
「本書は、3ステージの人生を前提にした働き方を葬り去り、
新しい人生の設計を提案することを目的にしている。
長寿が大きな恩恵となり、人々が活力と創造性と楽しみのある人生を
送れるようにしたい」。
<ドラッカーの一言>
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
今日最も困難な試練に直面している先進国が、
この50年間、社会として最もうまく機能して
きた日本である。日本は、働く者が動かない
ようにすることによって、社会として
歴史上類をみない成功をおさめてきた。
それが終身雇用制だった。
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
『明日を支配するもの』p.233
ドラッカー教授は1999年の『明日を支配するもの』の巻末にわざわざ
「日本の解決がモデルとなる」との節を設け、締めくくりました。
しかしこの時、日本の終身雇用制は崩壊を始めていました。
1997年山一證券や北海道拓殖銀行などの経営破綻により、
金融界はもちろん、あらゆる産業で大再編、大リストラが起こりました。
多くの企業が新卒の採用を停止し、多くの人が長年勤めてきた会社を去りました。
それから20年、日本も人材の流動化がずいぶん進みました。
しかしこの間日本では生産人口の減少の問題が顕在化し、今に至っています。
『ライフシフト』の分析を待つまでもなく日本では長く働くことが進行中です。
たとえば公務員の定年を65歳にすることが検討されています。
長く働く時代とはどのような時代なのでしょうか。
今後、多くの人は心身の健康に問題がなければ75歳くらいまでは働くことになるでしょう。
そして職場、職種を変えていくことになるでしょう。
これは「すでに起こった未来」と言っていいでしょう。
『ライフシフト』はその変化を次のように記述します。
「私たちは、人生でどのような移行を経験するようになるのか?
外的要因により否応なく変わらざるをえない場合もあるだろう。
テクノロジーが進歩してスキルが古くなったり、勤務先の企業が
倒産したりといったケースだ」。
「変化はときに難しく、大きな不安をともなう。当然、難しい変化ほど、私たちは
準備ができていない」。
こうした時代を迎えつつある今、特に不安定な社会になれていない
日本人が身につけなければならない資産が前回も示した「変身資産」です。
「変身資産は、そうした変化のプロセスを助けるためのものだ。
移行につきものの不確実性への対処能力を高める要素といってもいい」。
いま日本人に最も必要な資産なのかもしれません。
【追記】
私たち、法務会計プラザは開設20周年を記念して、
<LIFE SHIFTの時代>と題し11月15日に講演会を行います。当日は、
宮澤弦さん(ヤフー上級執行役員)×孫泰蔵さん(ガンホー創業者)に、
LIFE SHIFのテーマで対談をお願いしています。
これからの人生を考える大切な1日になると思います。
佐藤 等