経営者の条件【経営のヒント 535】
法務会計プラザ開設20周年の記念講演の当日となりました。
長くお伝えしてきた著書『ライフシフト』に関する記事も今日でいったんおしまいとします。
とても示唆に富む著作なので是非手に取ることをお勧めします。
さて『ライフシフト』の終盤には、第7章「新しいお金の考え方」と
第8章「新しい時間の使い方」という章が並んでいます。
時間の使い方の中に「余暇時間と空き時間」という節があります。
その中に現代人の時間感覚の常識に疑問を呈する提言があります。
「余暇時間がレクリエーション(娯楽)から自己のリ・クリエーション(再創造)の
時間へ変わっていくことは間違いない」
いかがでしょうか?ちょっと苦笑してしまいます。
古代ギリシアの哲学者アリストテレスは「余暇とは苦役から解放された状態」と
定義したそうです。
かつて労働は肉体労働でリ・クリエーション(再創造)は身体を休め体力を回復する点に
重点が置かれました。
ところが人類は機械化により体力を消耗する重労働から解放されました。
その結果、余暇は娯楽に使われるようになりました。
つまり本来の使い方ではなくなったということです。
肉体労働から解放された知識労働者のリ・クリエーション(再創造)の目的は、真の意味で
生産能力の維持向上にあるのです。
人生100年時代には何度も知識やスキル、経験を更新しなければなりません。
時間はそのために使うべし。
それがライフシフト時代の時間の使い方の要点の一つです。
また「新しいお金の使い方」で目を引いた言葉を紹介します。
「長寿化時代には、現在の行動と未来のニーズのバランスをとることが不可欠だ。
現在の行動が未来の自分に影響を及ぼすことを理解し、必要なセルフ・コントロールを
図るべきなのは、金融分野に限ったことではない。生産的で充実した人生を100年以上
生きるうえで核になるのは、セルフ・コントロールの能力なのである」。
減量のために運動しなければならないことはわかっているが、実際には実行されないと
いうように誰もがセルフ・コントロールに苦労しています。目先の利益を優先させる
ケースが多いのです。
しかし人生100年時代では金融や財産に関する行動の先延ばしは破綻を招く可能性を
意味します。
金融や財産といった領域にもセルフ・コントロールが必要なのです。
大いに反省させられます。
この言葉からドラッカー教授の次の言葉を思い出しました。
今日の教授の一言です。
<ドラッカーの一言>
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ほかの人間をマネジメントできるなどということは証明
されていない。しかし、自らをマネジメントすることは
常に可能である。
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『経営者の条件』まえがきⅰ
セルフ・コントロール(マネジメント)の領域は時代とともに拡大し、深化します。
固定的なものではなく、柔軟に考えることが求められます。
【追記】
さて著書『ライフシフト』を題材にメルマガを書いてきましたが、来年、同書を用いた
読書会を全5回で行う予定です。
これに先立ち2018年1月31日(札幌:16:00~17:30)に体験読書会を行います。
詳しい内容は別途ご案内いたします。
佐藤 等